エース復帰のソシエダ、“過密日程”で問われる久保の立ち位置…現地記者が見解「スタメンを外れる可能性が高い」

スペイン紙「ムンド・デポルティボ」のウナイ・バルベルデ記者【写真:高橋智行】
スペイン紙「ムンド・デポルティボ」のウナイ・バルベルデ記者【写真:高橋智行】

現地紙のバルベルデ記者が指摘「4-4-2を採用する場合、オプションは2つある」

 スペイン紙「ムンド・デポルティーボ」のウナイ・バルベルデ記者に、中盤ダイヤモンド型の4-4-2と4-3-3のどちらを監督が選択するべきか、番記者としての意見を聞いてみた。

 まず、「以前のラ・レアル(※レアル・ソシエダの愛称)はずっと4-3-3が主流だった。しかしオヤルサバル負傷後、(ダビド)シルバが重要な役割を果たせるようなシステムとして、中盤ダイヤモンド型の4-4-2に変更されたんだ」と説明。続けて、「今のラ・レアルなら、どちらで戦ってもうまくいくと思う。個人的には以前の4-3-3が好きだけど、今季は4-4-2の方がいいサッカーをしているから、監督の判断にも納得できる」と見解を述べていた。

 システム変更のほか、オヤルサバルが復調した場合、レギュラーに復帰するかどうかも大きな話題となっている。アルグアシル監督は先日、その件について問われた際、「長期の怪我から復帰したばかりでリズムを取り戻すのが難しく、復調するまでもう少し時間がかかるかもしれない。しかしミケルは素晴らしい選手なので、4-3-3でも中盤ダイヤモンド型の4-4-2でもプレーできるし、前線やトップ下、さらにインサイドハーフでも十分適応できる」とほかのポジションで起用する可能性も示唆し、クラブを象徴する選手に対する信頼の厚さを感じさせた。

 バルベルデ記者はオヤルサバルが完全復活した際、レギュラーの座を確保することは間違いないとし、今後のシナリオを次のように推測している。

「イマノルがこのまま中盤ダイヤモンド型の4-4-2を採用する場合、オプションは2つあると思う。1つ目は、ここまでレギュラーで起用されている久保が犠牲となり、スタメンから外れるオプション。2つ目は、オヤルサバルが久保と一緒に2トップを形成するオプションだ」と、オヤルサバルを中心に2トップが組まれることを強調。しかし、オヤルサバルのこれまでの実績やセルロートのパフォーマンスを考慮し、「論理的には久保がスタメンを外れる可能性が高いと思う」と、久保の実力を認めつつも、FWとして3番手だと判断した。

 また中盤4枚のポジションに関しても、アルグアシル監督にとって議論の余地のないマルティン・スビメンディ、ブライス・メンデス、シルバ、ミケル・メリーノから久保がポジションを奪うのは難しく、絶対的なレギュラーという地位を得るのは厳しいと見ている。しかし、「この後、3大会で3日おきに試合があるため全員に出場時間が与えられるはずだ。そして今の久保のパフォーマンスを見る限り、監督が使いたい選手であることは間違いない」と出場機会を十分得られることに太鼓判を押していた。

 オヤルサバルが復帰したことで今後、前線のひと枠が埋まる可能性が非常に高そうだ。しかし久保はソシエダ加入後、レギュラーとしてチームで誰よりも多くのポジションをこなし、ポリバレントな能力を存分発揮してアルグアシル監督の大きな信頼を得ている。さらに今月37歳の誕生日を迎えたシルバが休み休み起用されていることや多くの試合があることを考えると、頻繁にローテーションが行われるだろう。そのためバルベルデ記者が話すように、今後も多くの出番を得られるはずだ。

 ソシエダは今月、ラ・リーガと国王杯を並行して戦っており、3月からELが再開する。全大会を順調に勝ち抜いていった場合、まだ30試合以上あるため、久保には実力を示す場が大いに残されている。

高橋智行

たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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