「18歳の子がつらい経験をした」 佐野日大、キャプテン江沢を劣勢で送り出した訳「最後にチームのために…」

佐野日大を率いる海老沼秀樹監督【写真:徳原隆元】
佐野日大を率いる海老沼秀樹監督【写真:徳原隆元】

岡山学芸館に0-4で敗れて敗退

 第101回全国高校サッカー選手権は1月4日に各地で準々決勝が行われ、等々力陸上競技場の第1試合で佐野日大(栃木)は岡山学芸館(岡山)に0-4の敗戦。海老沼秀樹監督は、劣勢の試合展開が続いた選手権から選手たちが見せた姿勢を称えた。

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 3回戦で上位進出の可能性が十分と評判だった履正社(大阪)を相手にPK戦の末の勝ち上がりを見せた佐野日大は、この準々決勝でも岡山学芸館を相手に守勢になった。5-4-1のブロックで守る時間が長くなることは想定内で、「後半残り20分から勝負に出よう」というプランだったと指揮官は明かした。だからこそ1点ビハインドのハーフタイムを経て、後半13分にセットプレーから取られた追加点が痛かった。ここから少しの時間帯、ボールを奪いにいくのか、もう少し耐えるのかピッチの中でも少しバラバラになってしまった。

 打開の軸はロングスローだった。後半途中まではDF大野結斗が投げていたが、2点ビハインドから投入されたMF江沢匠映に投げ手をスイッチし、長身の大野もゴール前へ入れた。しかし、ゴールを奪うには至らず逆にボールを奪いに出たところを外されて2点を追加されてしまった。

 海老沼監督はキャプテンを務めた江沢について聞かれると目頭を熱くして、夏に体調を崩した後に負傷もあり、ようやく復帰した栃木県予選でもなかなかコンディションが上がらなかったことを明かした。そのうえで「彼の心が折れてしまった時期もあった。大人が考えている以上に18歳の子がつらい経験をした。最後にチームのため、0-2からでも彼が1点を返せば勝機があるんじゃないかと送り出した」と話した。

 全国の舞台では守勢に回る時間が長くなった。海老沼監督は「私たちはどことやっても格上。苦しい時間があっても耐えることや、仲間を思う、助け合う気持ちがあった。今後は少しボールを握ることも求めたいが、それは時間の掛かることですから」と、今できることの全力を尽くした選手たちを称えていた。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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