森保監督続投の日本代表が進むべき道は? カタールW杯データから考える“解決策”

ゲームを支配するための解決策は「世界を2度騙す」「日本人のサッカーの嗜好を変える」

 だが、モロッコを手本にするにしても乗り越えなければいけない問題がある。それは日本人がゲームを支配する戦い方を好むということだ。せっかく高まったサッカー人気を継続させるためには、パスを回し、相手を振り回し、華麗にゴールを決めてみせるしかない。

 となると、解決策は2つになる。

 1つは、本大会まではとことんパス回しに重点を置いたサッカーをして、本大会ではカウンター中心にすること。カタールで森保監督は前半弱いふりをしておいて後半怒濤の攻めを見せるという、「死んだふり」作戦を成功させた。次のW杯では「路線を変えたふり」をして、再び堅守速攻にかける。世界を2度騙すのだ。

 もう1つは日本人のサッカーの嗜好を変えさせること。相手に攻められるとワクワクする体質になっていけば、きっと「やられているふり」が楽しくなっていくはずだ。「攻め」の対義語が「守り」ではなく「受け」になるのだ。

 森保監督ならば、この「本大会は別物」というのが重々分かっていて、今回の会見では「ボールを握りながらゲームをコントロールする」と言ったのかもしれない。もしかしたらもう一度世界を騙すために、あえて方向転換を口にしたとも考えられる。そして弱いふりをするために、あえて面白くない試合を……。いや、これ以上は日本の戦略をばらすことになるかもしれないので、今日はここまでにしておこう。

森 雅史

もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。

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