【W杯】ドイツが失意から復権へ、最強タスクフォースチーム集結 残された時間は1年半…再建の第一歩とは?

ドイツで開催される24年EUROが1つの目標、気がかりとして残るのは?

 ノイエンドルフDFB会長はタスクフォースチームに何を求めているのだろう。こう説明していた。

「ドイツサッカー界の構造が最適な状態なのか、重点的に取り組むところはなんなのか、将来的にどのように整備されなければならないのか。自己批判的に1つ1つにメスを入れて考える。そのための話し合いをしたい」

 それぞれがどんなビジョンを持っているのか。どんなアイデアをもたらすべきなのか。すでにフランクフルトのDFBキャンパスで最初の顔合わせは終わっている。

「カタールW杯における失望の敗退を受けて、これからの道と可能性について、特にドイツで開催される24年EUROで再び成果を上げるために、どうすべきかを話し合った。冷静さを保ちながら、可及的速やかに進めていきたい」

 冬休みを経て1月以降、活動は再開される模様だ。気がかりとして残るのは、代表ディレクターのポストはまだ空席だということだろう。これまでビアホフが手掛けていた役割は非常に多岐にわたっていた。いや、多岐すぎた。ドイツ代表に関してだけではなく、新設されたDFBアカデミーやキャンパスに関して、育成年代・指導者育成に関して、さらにはドイツサッカー協会における経営プラン、各カテゴリーにおける人事関連など、さまざまな決断をしなければならなかった。

 DFBでは役割を分業化することで、それぞれのタスクを明確なものにしようとしている。それこそメディアではDFBチームダイレクター候補にヘルタベルリンでCEOを務めるフレディ・ボビッチ、DFBアカデミーダイレクターには元アーセナル育成ダイレクターのペア・メルテザッカーの名前が挙がっているが、ノイエンドルフは「具体的な名前を挙げてのディスカッションはまだされていない」と慎重な姿勢を崩していない。

 昔からドイツは話し合いに時間がかかる。それはさまざまなポイントをどこまでも掘り下げて、詳細までまとめ上げるからだ。そのための忍耐力には計り知れないものがある。抜かりなく準備をして、スタートしたら、全力で取り組んでいく。2000年の育成改革もそうだった。

 果たして、ドイツはどのようなリスタートを切るのだろうか。

(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)



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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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