【W杯】日本の攻撃はなぜ停滞したのか 佐藤寿人氏が指摘、スペインと違った“相手の背中で受ける”回数

佐藤寿人氏が日本の”攻撃停滞”を分析【写真:徳原隆元 (FOOTBALL ZONE特派)】
佐藤寿人氏が日本の”攻撃停滞”を分析【写真:徳原隆元 (FOOTBALL ZONE特派)】

【専門家の目|佐藤寿人】スペインは「最終的に相手の背中で受ける回数が多かった」

 森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング24位)は、11月27日に行われたカタール・ワールドカップ(W杯)グループリーグ第2戦でコスタリカ代表(同31位)に0-1で惜敗した。元日本代表FW佐藤寿人氏に、日本の攻撃が停滞してしまった理由を分析してもらった。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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 コスタリカ戦の日本は試合開始直後からMF相馬勇紀とDF長友佑都が左サイドを深くえぐるなど、アグレッシブな立ち上がりを見せた。しかし、5バックで守るコスタリカの守備を崩し切れず、試合は徐々に停滞。後半に自陣でのボールロストから失点し、最後まで1点が奪えなかった。

 佐藤氏は「これが勝負の世界だなと。しっかり指導権を握って、前半の入り方は非常に良かった。得点を奪うところ、最後のアタッキングサードのところだけが足りなかったのかなと思います」と総括しつつ、第1戦でコスタリカから大量7得点を奪ったスペイン代表との比較も踏まえ、ボールを保持する展開での難しさを指摘している。

「相手を押し込んでボールを持つことが多かったですが、持っている時間に対してシュートの数はそれほど多くなかったと思います。確かに引いた相手、スペースがないなかでの打開策は簡単ではありませんが、少し遠い位置からのシュートも少なかったですし、後半に浅野(拓磨)のワンタッチのフリックで相手のマークがズレたことを考えても、もう少しワンタッチを入れる場面が多くても良かったのかなと思います。最後の最後で誰かに体を寄せられていたところもありました。改めて“This is Football”だったかなとは思いますね。10回やれば日本が多く勝てるとは思いましたが、そのなかで数少ない敗戦という結果がこの試合で来てしまったかなという印象です。

 スペインはコスタリカに対してボールを動かしながら、人も出入りしながら、最終的に相手の背中で受ける回数が多かった。日本も2列目に背中で受けられる上手さを持っている選手が多いですし、同じように良い形で受けて、うまくフィニッシュまで持っていく形になるのかなと思っていました。正直なところ、思ったよりもそうした形が多く作れなかったとは思います」

 前半にはトップ下のMF鎌田大地が後ろの選手たちに対して、もっと前にボールを出すように要求するシーンもあった。佐藤氏は「もう少し前に(ボールを)進めてほしいところもあったと思います」と心境を推察したうえで、簡単な状況ではなかったとも振り返る。

「(コスタリカが)ブロックを作っていたので、ある程度相手を動かすところも必要でした。コスタリカがこれまでの4-4-2の陣形から変更して、5バックで後ろを固めていたので、かなりスペースも限られていました。簡単に縦に付けるところも、後ろからするともしかしたら難しかったのかもしれません。

 もちろん、前の選手からすると、早くアタッキングサードでボールを保持したいというところもあったかもしれませんが、その部分については思っていたよりも悪くはなかったと思います。特に相馬(勇紀)の左サイドからうまく仕掛けられてはいました。ただ、やはり左に比べると右でスムーズにゴール前まで行く回数がそれほど多くなかった。左から攻撃に出ていく回数が多かったなか、もう少し攻撃の作り方を見直していけたらよかったのかなと思います」

 攻撃に変化を付け切れず、効果的にフィニッシュへとつなげられる場面が少なくなった結果、無得点に封じられてしまったコスタリカ戦。この悔しさを糧に、第3戦のスペイン戦で躍動する姿を見せたいところだ。

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