【W杯】「鎌田が死んでいた」 トップ下機能不全による攻撃力半減の要因を日本代表OBが指摘
【専門家の目|栗原勇蔵】トップ下が機能せず、両サイドの攻撃力も半減
森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング24位)は、11月27日に行われたカタール・ワールドカップ(W杯)グループリーグ第2戦でコスタリカ代表(同31位)に0-1で惜敗した。元日本代表DF栗原勇蔵氏は、フル出場するも持ち味を発揮できなかったMF鎌田大地(フランクフルト)について、「死んでいた」とトップ下が封じ込められたことでチームも機能不全に陥っていたと語っている。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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グループリーグ初戦でドイツに2-1と逆転勝利を飾った日本は、初戦でスペインに0-7と大敗したコスタリカと対戦。第1戦から先発メンバー5人を変更し、MF堂安律(フライブルク)が初先発、DF山根視来(川崎フロンターレ)、MF守田英正(スポルティング)、MF相馬勇紀(名古屋グランパス)、FW上田綺世(セルクル・ブルージュ)が初出場初先発となった。
序盤から主導権を握った日本だったが決定打には至らず前半をスコアレスで折り返すと、後半にFW浅野拓磨(ボーフム)、MF三笘薫(ブライトン)、MF伊東純也(スタッド・ランス)と攻撃的なカードを切る。
そのなかで、後半36分に試合が動く。コスタリカが日本ゴールに迫った場面でDF吉田麻也(シャルケ)がクリア。これをMF守田英正(スポルティング)が拾え切れず危険な位置で相手に渡ると、DFケイセル・フレールの左足シュートが枠内へ。ふわりとしたボールにGK権田修一(清水エスパルス)は上手く合わせ切れず、手に触ったボールがゴールに吸い込まれて先制を許してしまった。日本はMF南野拓実(ASモナコ)もピッチに送り込んで同点を狙ったが、最後までゴールを奪えず0-1でコスタリカに敗れた。
先発起用の堂安や相馬、上田は思うように見せ場を作れなかったが、それ以上にフラストレーションを溜めていたのがトップ下の鎌田だ。守りを固めるコスタリカの厳しいマークにより、前を向いてボールを持つシーンが少なく、攻撃力が半減。前半終了間際に2人がかりで潰された際には、味方に大声で要求するジェスチャーを見せていた。
元日本代表DF栗原氏は、「鎌田が死んでいた」と本来の持ち味を生かす状況にできなかったと指摘している。
「鎌田はボールをいい形で持たせてくれれば、いいプレーができる自信がある。ただ、相手も前を向かせたら怖い選手だと分かっているので、マークが厳しかった。鎌田が生きると、サイドももっと生きる。三笘が突破したシーンはありましたけど、チャンスの数は限られていた印象です。三笘、伊東が出てきた時には5バック気味にするコスタリカに上手くハメられてしまった。コスタリカは前からくるのではなく、引いてブロックを作る感じ。W杯アジア最終予選みたいに日本はやりづらそうで、あそこを打開する力がチームにはまだないんだと痛感させられました」
次戦はスペイン代表と対戦するが、森保監督はどのような戦い方を選択するだろうか。
栗原勇蔵
くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。