W杯へ不安が露呈「オプションがほとんどない」と英記者が断罪 カナダ敗戦の数少ない日本の収穫は?
【識者の目】カナダ戦出場選手のアピール不足を指摘
森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング24位)は11月17日、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで行われた国際親善試合でカナダ代表(同41位)と対戦し、1-2で逆転負けを喫した。かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、カタール大会でW杯を7大会連続で現地取材する英国人記者のマイケル・チャーチ氏は出場した選手のプレーへ物足りなさを指摘。敗戦を踏まえてW杯初戦(11月23日/対ドイツ代表)の先発メンバーを予想した。
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森保一監督率いるサムライブルーは木曜日に行われたカナダ戦はむなしい敗北を喫し、物足りなさを残したままドイツとのワールドカップ初戦を迎えることになった。
カナダは繊細さには欠けるものの、エネルギーとフィジカルを十分に備えた相手だった。日本の二軍チームは厳しい戦いを強いられ、この試合で学べることはほとんど何もなかった。
おそらく、森保監督と日本代表にとって最も緊急の課題は遠藤航をドイツ戦に間に合うようにすることだろう。シュツットガルトの遠藤がエンジンルームにいないと、日本はバラバラで、相手に支配されていたからだ。
柴崎岳と田中碧は、一貫してゲームを支配するのに必要な落ち着きと粘り強さを欠いており、自分たちの長所をどのように使うかを知っているチームに対して、あまりにも頻繁にボールを失ったり、フリーキックを与えてしまっていた。ドイツやスペインを相手にそんなことをしていたら、日本のワールドカップはあっという間に終わってしまうだろう。
もちろん緩和された状況もあった。権田修一、酒井宏樹、そしておそらく久保建英は、少なくとも11月23日の試合での先発が期待できる選手だろう。それ以外の選手は負傷者の危機がない限り、大会を通じて脇役となるだろう。誰ひとりとしてアピールすることができなかった。
確かに権田はハイボールへの対応に苦しむなど不安もある。板倉滉と谷口彰悟は、病気や怪我などアクシデントがなければ吉田麻也と冨安健洋の前に先発するチャンスはないだろう。
伊藤洋輝のパフォーマンスは、中山雄太の負傷離脱で長友佑都のバックアッパーとして左サイドバックのスペシャリストを招集しなかった森保監督の判断に誤りがあったことを明らかにするものだった。
攻撃陣も、平凡なカナダを相手に効果的なプレスをかける場面があったとは言え、自信を掴むような場面はほとんどなかった。
南野拓実への信頼はほとんど失われてしまったように見えたし、久保建英は最悪のタイミングを選んで漂流しているようだった。相馬勇紀は曲がりなりにもいつもの輝きを見せ、起用なフィニッシュで得点を決めた。浅野拓磨は誠実な選手だが、この試合ではクオリティーを欠いていた。
後半の選手交代で、雰囲気を盛り上げることには成功した。その中で山根視来は高音と低音の両方を響かせていた。活力と攻撃への決意は素晴らしく、ポスト直撃のシュートを放つなど日本に2点目をもたらすところだったが、カナダに不必要なペナルティーキック(PK)を与えてしまった。
堂安律と鎌田大地の登場はチームへさらに活気を与えることができた。森保監督は休養と回復を重ね、可能な限りファーストチョイスのメンバーたちで試合に臨みたいと思っているだろう。
なぜなら、このカナダ戦のパフォーマンスによって、ファーストチョイスの選手たち以外では、ベスト8進出という願望を実現できるオプションがほとんどないことが明らかになってしまったからだ。
マイケル・チャーチ
アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。