現役引退の鄭大世、中村憲剛氏を「悪霊」と形容した“真意” 「その後はかなり苦しんだ」

引退会見を行った町田FW鄭大世【写真:(C) FCMZ】
引退会見を行った町田FW鄭大世【写真:(C) FCMZ】

6日に引退会見を実施し、中村憲剛氏への思いを語る

 今季限りでの現役引退を発表したFC町田ゼルビアのFW鄭大世が11月6日、引退会見を実施した。会見では川崎フロンターレ時代にチームメイトだった元日本代表MF中村憲剛氏について「サッカーの師でもあり、自分を一番苦しめた悪霊」と語っている。

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 現在38歳の鄭大世は2006年から10年まで川崎でプレーし、その後はドイツのボーフムやケルン、韓国の水原三星で活躍。15年から清水エスパルスに移籍し、アルビレックス新潟を経て、昨季から町田でプレー。すでに今季のリーグ戦をすべて終え、34試合6ゴールとチームを牽引していたが、10月28日にクラブから今シーズン限りの現役引退が公表された。J1通算181試合65得点、J2通算130試合46得点。16年にはJ2得点王に輝いて清水をJ1昇格に導き、北朝鮮代表としても33試合15得点の輝かしい成績を記録している。

 ブレイクした川崎時代はパスの出し手である中村氏とホットラインを築いていた鄭大世。その中村氏について問われると、「自分のサッカーの師でもあり、自分を一番苦しめた悪霊でもある」と独特の表現で答え、次のように続けている。

「(中村氏と)どういうコンビを組んできたかは説明するまでもないと思う。ただ、最初にそれを経験したことでその後はかなり苦しんだ。そのタイミング、そのパスを受けられないことで味方にもイライラしたし、感情的に言ってしまった。最後までそれを上回る人がいなかった。パスを受けないとゴールを決められないけど、(中村氏とのコンビでは)そういうストレスを感じなかった。稀代のパサーだった」

“悪霊”という言葉を選んだことの真意として、「一緒にやった時は多くのアシストでキャリアのステータスを上げてくれたけど、その後はそのパスが幻影として悪霊のように背中にいる。味方からいいパスが来ないと、憲剛さんからならいいパスが来るのに」と明かし、「そういう人に出会えた喜びはみんなには味わえない。フロンターレに入って憲剛さんとやったからこそ。次の人生にも影響を与える。FWはこういうパスを受けたいと次の世代にも伝えられる。憲剛さんのパスを受けた時代は最高に価値がある」と絶賛した。

 中村氏に続くような存在がいるかと問われると「いません。全くいません」と断言。「だから悪霊なんです。その幻影から逃れることができない。憲剛さんが背中を向けているのにここで来てほしいというタイミングで来る。サイドバックもそういうことを言う。時代も日本はポゼッションを強く意識するリーグだから、決定的なパスより失わないパスが風潮としてあった。そのなかで川崎だけはFWを生かす、ポゼッションで体力を温存するんじゃなくてFWを生かすパスを出してくれる。それは技術じゃなくて気持ちだから」と熱弁した。そのうえで「あと1人あげるなら、韓国でプレーしたヨム・ギフンのクロスの質はサッカーの人生を変えるきっかけになった」とも語っている。

 鄭大世にとって、川崎で中村氏とともにプレーした日々はかけがえのないものとなったようだ。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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