「え、なんで?」 大迫、古橋、原口らW杯メンバー落選分析…“放棄したサッカー”とは? 金田喜稔が「理解できる」と語る訳

大迫や古橋の落選に理解「プレッシングサッカーに勝機を見出した」

 日本代表の志向するスタイルが垣間見えたという金田氏は、26人のメンバー選考で注目を浴びたFW大迫勇也(ヴィッセル神戸)やFW古橋亨梧(セルティック)らの落選に理解を示している。

「先ほど話した割り切ったスタイルを前提に考えると、大迫や古橋の落選は理解ができる。日本が、ドイツやスペインを相手にある程度ボールを保持しながら戦える時間帯もあるだろうが、1試合全体で見ればやはり押し込まれる時間が続く。そうなった時、じっくりビルドアップして大迫を起点に攻め込む局面は限られるだろう。また、その役割は上田綺世も担えるうえ、コンディションは上田のほうが良いと判断したのかもしれない。古橋にしても、日本がボールを保持して戦う時に裏抜けの能力が最大限に発揮されるタイプ。そう考えると、シンプルにスピードがあり、何回も繰り返しアップダウンできる走力や運動量、つまり高いインテンシティーを備えた選手の優先度が高くなり、前田大然(セルティック)や浅野拓磨(ボーフム)が選ばれたのだろう。極論を言えば、パスワークで相手を幻惑するようなポゼッションサッカーを放棄し、少ないチャンスを確実にモノにするプレッシングサッカーに勝機を見出したということだ。あくまで極論だが、プレッシングサッカーが軸となるのは確かで、森保監督の割り切りが見える選考だった」

 日本代表が出場した過去6回のW杯を振り返り、「今回のW杯メンバー26人で際立っているのは、直近の東京五輪出場メンバーたちが多く含まれている点だ」と語る金田氏は、ポジティブな世代交代と捉えている。

「森保監督が、五輪代表チームとA代表チームを兼任した1つの成果と言ってもいいかもしれない。有望株が多いというのもあるが、じっくり選手を見極めることができたのは確かだろう。『(直近の)五輪経由、W杯行き』という言い方をよくするが、歴代のW杯日本代表において、そのルートを辿った選手は各大会で数人だった。東京五輪経由、W杯行きの選手はオーバーエイジ3人(吉田麻也、酒井宏樹、遠藤航)を除くと、中山雄太、板倉滉、冨安健洋、久保建英、堂安律、三笘薫、相馬勇紀、田中碧、前田大然、上田綺世と10人もいる。比較的スムーズに世代交代が進んで、森保監督の兼任体制というのは一定の成果があったように思う」

金田喜稔

かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。

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