「私40なんだから!痛い痛い!」 浦和LベテランMF安藤梢が慕われるワケ、若手を魅了する愛嬌といぶし銀の輝き
「WEリーグカップ」決勝で存在感、40歳のベテランMF安藤梢に注目
三菱重工浦和レッズレディースは、日本女子のプロサッカーリーグ「WEリーグ」が今季から創設した国内カップ戦「WEリーグカップ」の決勝で10月1日に日テレ・東京ヴェルディベレーザと対戦して3-3の同点からもつれ込んだPK戦を制した。そのチームの中では、40歳のベテランMF安藤梢が確かな存在感を放っていた。
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序盤から浦和もベレーザも最終ラインからつなぐ意志のあるサッカーを見せるなか、安藤は左サイドの攻撃的なポジションを基本にボールを引き出しながらゲームに関わった。しかし、ミスも絡んだ失点で前半に2点ビハインドになると、後半も1点を奪われて0-3と絶体絶命の状態になった。
しかし浦和は2トップに変更してポジションを変えたFW清家貴子が左サイドから長い距離のドリブル突破を見せて1点を返す。そして1分後にはコーナーキックにDF石川璃音が飛び込むと、こぼれ球にMF塩越柚歩、さらに安藤も反応して追撃ゴール。さらに相手のハンドでPKを得て後半30分からの9分間で同点に追いつき、PK戦に持ち込んだ。そこで浦和は4人全員が決め、GK福田史織のファインセーブもあり“逆転”で優勝を手にした。
安藤は「チームとしてカップ戦で若い選手、今までほとんど出られなかった選手も監督が使いながら優勝できたので、若い選手の経験もできたと思う。チーム力が上がったなかで優勝できて良かった」と話す。
その安藤について楠瀬直木監督は「年齢のこともありますが、今日も正直ベンチで交代は考えていた。ただ、40歳ながらにスピードがあるので。やっぱり、あのスピードは(ピッチに)置いておきたいということで、頑張ってもらった」と、フル出場の起用になった理由を話した。年齢が上がると瞬発力やスタミナの部分からキャリアの良い時期に及ばなくなっていく選手が増えてくるが、安藤は今でもその部分でチームを助けている。
トレーニングの際にはドイツでのプレー経験からも厳しい姿勢を見せるが、ピッチを一歩離れると若手選手も多いチームを支える姿がある。多くの選手に慕われる存在だが、19歳の石川は「去年、初めてベンチに入った時に『隣のロッカーを使って良いよ』と言ってもらって、色々と話しかけてもらった。今年も試合に出た時、ハーフタイムに『すごく良いよ、良いプレーだよ』と声を掛けてもらった」と話す。
そして石川は「止めてくれた時に喜びすぎて、安藤選手の手を強く握りすぎたら『私40なんだから! 痛い痛い!』って笑っていました」といった優勝の懸かったPK戦で安藤の持つ愛嬌ある空気感が発揮されたエピソードも披露した。そして「とっても優しい先輩です」と笑った。
昨季は初年度となったWEリーグでベストイレブンにも選出された。福田や石川といったU-20代表世代から幅広い年齢層で選手を構成する浦和の中で、背番号「10」を背負うベテランはいぶし銀の輝きを放っている。