WEリーグ高田新チェア、カップ戦決勝視察で語った課題と展望 「中途半端な試合やイベントを見せればリスクがある」
WEリーグカップ決勝は「いろいろなイベントがあって面白かった」
日本女子のプロサッカーリーグ「WEリーグ」のトップにあたる、チェアに今季から就任した高田春奈氏が10月1日に味の素フィールド西が丘で行われたWEリーグカップ決勝を視察し、発信力の強化など今後への課題と展望を話した。
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高田チェアは通販大手「ジャパネットたかた」を含むジャパネットホールディングスの取締役などを務め、サッカー界ではJ2のV・ファーレン長崎で2020年に社長就任。今年2月からはJリーグの理事を務めていたが、9月にWEリーグの2代目チェアへの就任が決まった。
この日の決勝戦は三菱重工浦和レッズレディースが日テレ・東京ヴェルディベレーザを相手に0-3のビハインドから同点に追いつき、3-3で90分を終えて迎えたPK戦を制して初代女王の座に輝いた。このゲームを「選手たちの個性があふれていて魅力的だと感じた。チームの個性も出ていた。レッズの風格を感じたし、ベレーザのフレッシュな勢いも素晴らしい。それぞれのチームの魅力が伝わっているのではないかと、観客の1人として思った」と話す高田チェアだが、試合周辺のイベントを含めた告知という点で課題を話した。
「純粋にいろいろなイベントがあって面白かった。もう少しその魅力を上手く発信して、多くの方に来てもらえるようにしなければいけなかったと思う。カップ戦の決勝、会場が西が丘、来てくださいという発信はすごくあった。ただ、例えばディズニーのイベントや、ピンクリボンの乳がん検診などいいイベントもちりばめられていた。ここに来るとどんな体験ができるかを一般の方にどう伝えられていたか。私は1人の個人として伝わっていなくて、調べて、調べて、こういうのをやっているのかと思ったという感覚だった」
昨季のWEリーグ開幕から、創設の意義や理念といった発信はあったが、実際の試合会場にどう足を運んでもらうかの発信力。その足を運んでもらったサポーターにどう満足してもらうかという点での課題は横たわっている。
長崎で実際にクラブ経営の現場を知る高田チェアは「中途半端な試合やイベントを見せれば、もう来なくなってしまうリスクがあると思っている。無駄に人を集めるのではなく本当に見てほしいと思える状態に、自分たちが努力してそういう空気を作って、そのうえでたくさん来ていただくことが必要だと思っている」と、中身の詰まったものにしていく必要性も語った。
試合が劇的な展開になったことも手伝ったが、会場の雰囲気は決勝戦のピリピリ感とサッカーを楽しむ空気があるいい空間になっていた。高田チェアは「普段からリーグ戦を、こういう空気を出していけるように集客の部分をクラブの皆さんとやっていきたい」と話している。2シーズン目を迎えるWEリーグがどのように変化、発展していくか、2代目チェアの手腕が注目される。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)