森保ジャパン欧州遠征の“主審ジャッジ”、元レフェリー・家本政明氏が考察 日本代表の足裏タックルに「ノーカードはあり得ない」
【専門家の目|家本政明】MF伊東の危険プレーにも触れつつ、欧州遠征2戦のレフェリングに見解
森保一監督率いる日本代表は9月27日、ドイツ・デュッセルドルフで行われたエクアドルとの国際親善試合で0-0と引き分けた。元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏は自身の公式ツイッターで「一戦目の主審の方が僕は好き」とツイート。この発信の真意や、欧州遠征の2試合のレフェリングを見て感じた率直な意見を聞いた。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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家本氏はまず、「公式戦と、フレンドリーマッチでレフェリーに求められていることが違うというのが前提にある」と前置きし、「欧州遠征は2試合ともフレンドリーマッチで、チームの連係を確認するなど調整の意味も含んでいます。公式戦とは異なるところがあり、レフェリーも少しリラックスしながら臨んでいるはずです」と役割の違いに言及。そのうえで、エクアドル戦について「個人的に一番気になったのは、両チームのパフォーマンス以上に目立っていたレフェリーの笛です」と指摘した。
「エクアドル戦はとにかく笛が過剰というか、耳障りで仕方なかった。僕は基本的に笛はノイズだと思っています。アメリカ戦のレフェリーは、回数も含めて、笛の強弱や長短などが適度だと感じ、ゲームにマッチしていました。それに比べてエクアドル戦のレフェリーの笛はノイズでしかなかったです」
家本氏はそう率直な意見を述べると、「笛の使い分けをする必要がある」と具体的なシーンを基にエクアドル戦のレフェリングに個人的見解を述べている。
「大事なシーンでの笛と、大事ではない場面の笛の使い分けができていなかったと思います。例えばこの試合のホットトピックだったPKのシーンでは、最初にタイミングが遅れて少し曖昧な笛を鳴らしたのち、微妙な間が空いて再び笛を吹いてからペナルティースポットを指しました。フリーキックなのかPKなのかが伝わりづらく、また2回笛を吹いたという事実に疑問を感じました。にもかかわらず、些細な反則のシーンでは間髪入れずすごく強い笛が鳴ったり、不要な場面でも強く吹いたりと、それがスタイルなのか怒っているのか分かりませんが、主審の笛が気になって試合をあまり楽しむことができませんでした。主審は試合のなかで、大事なシーンが際立つような笛のコントロールをしなければならないと個人的には思います」
また、この試合ではエクアドルコーチにイエローカードが提示される場面もあったが、家本氏は「カードを出すのが間違っていたり、悪いわけではないですが、フレンドリーマッチであの対応は個人的には違和感を抱きました」と、レフェリーのスタンスとゲームがマッチしていなかったとの意見も述べた。
家本政明
いえもと・まさあき/1973年生まれ、広島県出身。同志社大学卒業後の96年にJリーグの京都パープルサンガ(現京都)に入社し、運営業務にも携わり、1級審判員を取得。2002年からJ2、04年からJ1で主審を務め、05年から日本サッカー協会のスペシャルレフェリー(現プロフェッショナルレフェリー)となった。10年に日本人初の英国ウェンブリー・スタジアムで試合を担当。J1通算338試合、J2通算176試合、J3通算2試合、リーグカップ通算62試合を担当。主審として国際試合100試合以上、Jリーグは歴代最多の516試合を担当。21年12月4日に行われたJ1第38節の横浜FM対川崎戦で勇退し、現在サッカーの魅力向上のため幅広く活動を行っている。