日本代表のW杯仕様「最強布陣」が明らかに 英記者が考察…「先発確実」と「スーパーサブ」の選手は?

9月の欧州遠征を無敗で終えた【写真:Getty Images】
9月の欧州遠征を無敗で終えた【写真:Getty Images】

【識者の目】アメリカを容易に撃破したメンバーたちが「最有力」か

 森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング24位)は9月27日、ドイツ・デュッセルドルフで行われた国際親善試合でエクアドル代表(同44位)と対戦し、0-0と引き分けた。かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ(W杯)を6大会連続で取材した英国人記者のマイケル・チャーチ氏は、23日のアメリカ戦(2-0)を含めた9月の2連戦で「最強布陣」が明らかになったと語り、11月のカタール・ワールドカップ(W杯)先発メンバーを考察している。

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 シュミット・ダニエルの活躍により、サムライブルーはドイツでのトレーニングキャンプを無敗で終え、森保一監督はカタールW杯に向けた最強の布陣を明確にした。

 6月の4試合とヨーロッパでのこの2試合はチーム内の序列を明らかにするのに大いに役に立ったと言えるだろう。今思えば、アメリカ戦の先発メンバーは指揮官が考える“最有力(Probables)”なのだろう。

 つまりはグレッグ・バーホルター監督が率いるアメリカを容易に撃破したメンバーが、そのままW杯初戦(11月23日)のドイツ戦に出場する可能性が高いということだ。エクアドル戦に先発した選手たちは“Possibles”、要するに“可能性がある”選手たちで多くはリザーブに回ることになりそうだ。

 エクアドル戦で森保監督がスタメン11人をすべて入れ替えたのには十分な理由がある。本大会のメンバー26人を確定させる前に当落線上の選手たちの最終チェックをしたかったのだろう。

 本大会登録メンバーの大半は予選から森保ジャパンの中心だった選手が占めることになるだろう。吉田麻也、権田修一、遠藤航、酒井宏樹は先発がほぼ確実だ。しかし、中山雄太、守田英正、久保建英がアメリカ戦のスタメンに入ったことは何かを示唆している。

 エクアドル戦はリザーブ組が最後の主張をする場となった。田中碧は守田からポジションを奪い返すための、長友には若さよりも経験が物を言うことを証明するためチャンスが与えられた。あるいは、南野拓実の名誉挽回を果たす期待もあった。

 長友はエクアドルの攻撃を抑える気迫を見せ、山根視来は酒井が故障した場合でも十分にバックアッパーが務められることを証明した。

 しかし、そのほかの選手はどうだっただろうか? 予選の終盤であれほど効果的だった三笘薫も、先発よりはベンチからのオプションとなる可能性が高そうだ。スーパーサブとして素晴らしいクオリティーを発揮する選手だが、最初のホイッスルから頼りにされる選手ではないのだろう。

 アメリカ戦に比べれば、確実性に欠けるパフォーマンスだった。ピッチコンディションも悪く、エクアドルがアメリカよりも間違いなく優れたチームだったとはいえ、この試合のメンバーが先発の座を奪うほどの働きだったとは言い難い。

 森保監督の中で、W杯に向けたチームはすでに固まっているように見える。これから本大会が始まる7週間、怪我人が出ることなく今の好調が続くことを願うばかりだ。

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マイケル・チャーチ

アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。

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