札幌DF、ゴール無効のハンド判定は妥当? 元主審・家本政明氏が検証「競技規則で認められていない」

札幌DF田中駿汰【写真:Getty Images】
札幌DF田中駿汰【写真:Getty Images】

【専門家の目|家本政明】札幌DF田中のシュートシーンは「偶発的であってもハンド」の一例

 森保一監督率いる日本代表が9月に欧州遠征(23日にアメリカ戦、29日にエクアドル戦)を予定しているなか、日本対アメリカ戦で「家本政明ぶっちゃけLABO」というオンライン同時視聴イベントを開催する元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏。その家本氏が、9月11日に行われたJ1リーグ第29節の北海道コンサドーレ札幌対ジュビロ磐田戦(4-0)でゴール取り消しとなったハンド判定を検証した。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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 札幌が2点先取して迎えた前半31分、攻勢に出る札幌が左からのコーナーキックをMFルーカス・フェルナンデスが蹴り込むと、ボールは奥に流れフリーのDF田中駿汰の前へ。右足で触ったボールが跳ね、その弾んだ球を左足のボレーでゴールに蹴り込んだ。

 札幌の3点目かと思われたが、ここでビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が介入。この試合で笛を吹いていた井上知大主審はその後、オンフィールドレビュー(OFR)を実施したのち、シュートの直前に田中自身の左腕にボールが当たったとし、ハンドの反則で得点は無効に。試合はその後、札幌が2点を追加して4-0の快勝を収めている。

 このシーンについて家本氏は「VARの判断は正しいと思います」と判定をサポートし、「左腕がボールの方向に動くんですよね。意図とするのか偶発とするのかは置いておくとして、間違いなく左腕にボールが当たって、直後にシュートを打って本人が決めているので、それは競技規則で認められていない」と説明を続けた。

「(競技規則に)『偶発的であっても、ボールが自分の手や腕に触れた直後に』という文言があるんです。そこに該当するので、あれは意図があるなしに関係なくハンドの反則で、VARが介入して、レフェリーもそれを確認して、妥当な判断に導かれたというところだと思います」と試合中に主審、VAR側で正しい流れでのやり取りが行われていたと見解を示した。

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家本政明

いえもと・まさあき/1973年生まれ、広島県出身。同志社大学卒業後の96年にJリーグの京都パープルサンガ(現京都)に入社し、運営業務にも携わり、1級審判員を取得。2002年からJ2、04年からJ1で主審を務め、05年から日本サッカー協会のスペシャルレフェリー(現プロフェッショナルレフェリー)となった。10年に日本人初の英国ウェンブリー・スタジアムで試合を担当。J1通算338試合、J2通算176試合、J3通算2試合、リーグカップ通算62試合を担当。主審として国際試合100試合以上、Jリーグは歴代最多の516試合を担当。21年12月4日に行われたJ1第38節の横浜FM対川崎戦で勇退し、現在サッカーの魅力向上のため幅広く活動を行っている。

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