大迫を超える“日本のエース”へ 注目株・町野修斗を日本代表OBの元同僚が直撃、“不運”の新人時代から飛躍した要因

“忍者ポーズ”のゴールパフォーマンスも必見【写真:🄫SHONAN BELLMARE】
“忍者ポーズ”のゴールパフォーマンスも必見【写真:🄫SHONAN BELLMARE】

町野が掲げる今季の目標はチームのJ1残留と「15ゴール」

――日本代表のストライカーポジションにおいては、“ポスト大迫勇也”という議論が何度もされてきました。町野選手もその候補の1人だと思います。

町野「高校時代から大迫選手が活躍している姿を見てきたので、『ああいう選手になりたい』と目標にしていた選手と比較されるところまで来たんだなという気持ちはあります。ただ、僕は結果を出し続けないといけないチャレンジャーの立場。おそらく(同じタイプがW杯メンバーに)2人選ばれることはないと思うので、その競争に勝ちたいです」

栗原「修斗が見てきた大迫の印象は?」

町野「大きい選手相手でもしっかりボールキープできるし、ゴール前で多彩なプレーを持っているなと。ただ、どんな選手にも似ているタイプはいるものなので、強くは意識していません。湘南の勝利のために自分のプレーをすることが、一番のアピールになると思います」

栗原「俺はそこまで大迫に近いタイプだとは思っていない派なんだよね。とはいえ、長年、日本代表の攻撃を支えていたのは間違いなく大迫なわけで、大迫を超えていないといけない。今ようやく比べられて、ライバルと呼ばれるところまで来ているから、修斗には一気に追い抜いて、大迫以上の選手になってもらわないと、日本サッカー界としてはさらに上を狙っていけないと思う。その第一歩として、E-1選手権で結果を残したのは大きかったし、これから訪れるであろう限られたチャンスをものにしていってほしい」

町野「そうですね。ストライカーじゃなくて、『エース』と呼ばれたいです(笑)。どんな時も得点を取れるのがエースだし、“日本のエース”になれるようにゴールを狙い続けます」

――シーズンも終盤に差し掛かっていますが、今季の目標を聞かせてください。

町野「まずは二桁得点をクリアして、15ゴールくらいは取りたいです。チームとして(残留争いをしている)非常に厳しい状況なので、そういう時に僕のゴールで勝てるのがベスト。シーズン5位以内を開幕前に掲げてきたなかで、J1残留は最低限のノルマ。個人の数字を意識しすぎるのも良くないですけど、その必須条件を果たすには僕のゴールが重要になると思います」

勇蔵「チームの状況を考えず、自分のエゴを出してプレーしたら、15ゴールや得点王も狙えるかもしれないけど、それがサッカーではないもんね。チームを勝たせるプレーが一番だと思うし、結果的に数字の目標をクリアできていたというのが理想。修斗の場合、ストライカーでありながらチャンスメイクもできるから、一列下がってもプレーできる。数字にこだわってほしいけど、チームのことも考えてほしいところで、バランスが難しいよね」

町野「湘南には、まずは『チームのために』というのが大前提にあります。守備をさぼって、前線で歩いてゴールしてもダメ。守備とか背後への抜け出し、起点となる部分はもちろん大事だし、それをしっかり全うしたうえでゴールしたいです」

栗原「(9月7日に延期分の)湘南とF・マリノスの試合も残っているよね。F・マリノスには勝ってほしいけど、修斗にも活躍してほしい。2、3点取っていいから、F・マリノスに勝たせてほしいな(笑)」

町野「そこは、僕らが勝たせてもらいます(笑)」

※第2回へ続く

[プロフィール]
町野修斗(まちの・しゅうと)/1999年9月30日生まれ、三重県出身。履正社高―横浜FM―北九州―湘南。J1通算53試合12得点、J2通算32試合7得点、J3通算30試合8得点、日本代表通算3試合3得点。身長185センチを誇るとともに、多彩なシュートパターン、高い身体能力を生かしたスピードを兼備した生粋のストライカー。今年7月のE-1選手権で日本代表デビューを飾り、“ポスト大迫勇也”の1人として名乗りを上げる。

栗原勇蔵(くりはら・ゆうぞう)/1983年9月18日生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップチーム昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし、最終ラインに欠かせない選手へ成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。

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