レフェリーと選手の“緩んだ”関係はJリーグの懸念点 元主審・家本政明氏が「コミュニケーションの意味をはき違えている」と語る訳

Jリーグから世界を目指すのは選手もレフェリーも同じ

 なぜ選手とのコミュニケーションを誰よりも大切にしてきた僕がこうした厳しいことを言うのかと言えば、試合の緊張感はフットボールの魅力や価値を高める重要な要素の1つだと思っているからです。

 例えば、欧州5大リーグ、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)などを想像してもらえれば分かるかと思います。なぜ、世界中の多くの方が心を大きく動かされる試合が多いのか。それは試合に適度な緊張感があるからで、緩みがない。レフェリーに甘えや迷いや“なあなあ”さがない。レフェリーと選手の関係性が過緊張になったり、敵対関係である必要はまったくないのですが、やはり適度な緊張感は魅力的なフットボールに欠かせない要素ですし、審判が重要な決断や判定を下すうえでも欠かせない要素だと考えています。

 Jリーグから世界を目指すのは、選手もレフェリーも同じです。井の中の蛙は良くないので、世界のレフェリースタンダードと日本のレフェリースタンダードを常に意識し、検証する必要があると思ってます。

 レフェリー目線で言えば、海外の試合を裁く時の緊張感はまったく異なるので、そうなった時に上手くフィットしなかったり、評価の足を引っ張ることにもなります。また選手目線で見ても、Jリーグでは気軽なスキンシップやコミュニケーションがあったのに、海外の試合ではまったく違うという場面に出くわすことになるわけです。

 現状のような審判の選手への接し方は、良く言えば日本らしさでもあるのですが、レフェリーも選手も世界を舞台に戦うことを前提にした時、そうした世界とのギャップを埋めていく作業も今のJリーグのレフェリーには必要だと思っています。

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 9月3日のJ1第28節の鹿島対浦和戦で「家本政明ぶっちゃけLABO」というオンライン同時視聴イベントを開催する家本氏。参加者の意見や質問にNGゼロで回答しながら、独自のレフェリー目線でリアルタイム解説する“家本節”にも注目が集まる。

■オンライン配信イベント
「家本政明ぶっちゃけLABO」

元プロフェッショナルレフェリー家本氏が独自のレフェリー視点でリアルタイム解説!
参加者の意見・質問に家本氏が「忖度ゼロ、NGゼロ」のぶっちゃけ回答!

【オンライン配信イベントの対象試合】
9月3日(土) 18時キックオフ
J1リーグ第28節
鹿島アントラーズ vs 浦和レッズ

【オンライン配信イベントの開催日時】
9月3日(土) 17時55分からライブ配信

【オンライン配信イベント&参加チケットの詳細】
https://iemotolabo.base.shop/items/65970684

(FOOTBALL ZONE編集部)



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家本政明

いえもと・まさあき/1973年生まれ、広島県出身。同志社大学卒業後の96年にJリーグの京都パープルサンガ(現京都)に入社し、運営業務にも携わり、1級審判員を取得。2002年からJ2、04年からJ1で主審を務め、05年から日本サッカー協会のスペシャルレフェリー(現プロフェッショナルレフェリー)となった。10年に日本人初の英国ウェンブリー・スタジアムで試合を担当。J1通算338試合、J2通算176試合、J3通算2試合、リーグカップ通算62試合を担当。主審として国際試合100試合以上、Jリーグは歴代最多の516試合を担当。21年12月4日に行われたJ1第38節の横浜FM対川崎戦で勇退し、現在サッカーの魅力向上のため幅広く活動を行っている。

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