ACL日本勢対決、“番狂わせ”はなぜ起きた? 神戸が手にした新たな武器――狙いどおりだった横浜FM攻略法

神戸が日本勢対決を制す【写真:Getty Images】
神戸が日本勢対決を制す【写真:Getty Images】

ACLラウンド16で神戸が横浜FMに3-2勝利、鳥栖から加入のMF飯野七聖が好影響

 ヴィッセル神戸は8月18日のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)ラウンド16、横浜F・マリノス戦に3-2で勝利した。その“マリノス攻略法”は、夏にサガン鳥栖から加入したMF飯野七聖を効果的にプレーさせることにあった。

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 この日本勢対決は、J1で首位を走る横浜FMと残留争いに巻き込まれている神戸という点で、下馬評では明らかに横浜FMが高かった。しかし、神戸は吉田孝行監督が試合後会見で「私たちはチャレンジャー」という言葉を繰り返したように、失うものはないというメンタリティーで積極策に打って出た。

 そのなかでMF山口蛍が「マリノスの試合を見ていると、嫌がっているなと感じた」と話したのが、ボールを奪ったところから逆サイドに飛ばすプレーにあった。左サイドでボールを奪った時、右の飯野に向けて一気にサイドを変えることでいい形で仕掛けられる。一方、山口が「今まではそこで仕掛けられる選手がいなかった」と話したように、まさにピンポイントでチームの武器になる補強にもなっていた。

 飯野もまた、相手のメンバー構成や特徴、そして中央に日本代表FW大迫勇也という存在感の大きな選手がいることによりプレーの機能性が高まったと説明した。

「(左ウイングの)エウベルはあまり下がってこないという分析があって、マリノスは4バックで一生懸命スライドしようとする。ただ、大迫選手がいるのでサイドまでスライドするのは難しいと思っていたので、自分がなるべくサイドに張って、逆サイドから(ボールを)飛ばしてもらうことを考えた」

 飯野は狙いどおりに中央経由でMF汰木康也からラストパスを受け、相手守備組織の外側を一気に突破して先制ゴール。3点目の場面でも左サイドから汰木が入れたクロスが逆サイドに流れたところ、諦めずに追いかけてピッチ内にボールを残したことが起点になった。

 もちろん全体的なハードワークや中盤の運動量で横浜FMの攻撃に耐えた部分はベースにあるが、そこからの攻撃に具体的なパターンを持っていたことは神戸の戦い方をハッキリさせただろう。日本勢対決による“番狂わせ”の背景には、右サイドに加入したニューカマーの大きな存在があったと言えそうだ。

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