「単なるインサイドハーフにはなりたくない」 “ファイター”原口元気がウニオン・ベルリンで追求するやりがい

「戦える」姿勢を示してウニオン・ベルリンでのスタイルに意義を見出す

 ウニオンのフィッシャー監督が求めるのは球際での強さだ。それは原口だけに限らず、GK、DF、MF、FWの全ポジションでレギュラーを張る際の必須条件でもある。原口は、その監督の要求に十全に応え、移籍初年度から右インサイドハーフに抜擢され、昨季クラブ史上最高位となるブンデスリーガ5位、そしてクラブ初のUEFAヨーロッパリーグ(EL)出場権獲得に寄与した。

 ただ、今季のウニオンにはさらに成績を向上させるための課題がいくつかある。特に昨季のリーガで31試合15ゴールをマークしてチーム最多スコアラーとなったFWタイウォ・アウォニイがノッティンガム・フォレスト(イングランド)へ移籍してしまった影響は大きく、今節のマインツ戦でもなかなか最前線でボールが収まらず、分厚い攻撃を仕掛けられなかった。

「上手くいっている時は前線のFW2人でボールを収めて、それに僕も絡んで4、5人で攻めるやり方ができていたけど、今回はそれが少し難しかった。ただ、それでも個人的には球際で強く行けたし、たまに空中戦で負けたとしても、地上戦ではほぼ勝っていたので、良かったとは思う」

 今の原口は明確にファイターだ。以前と比べてボール保持する時間が減った一方で、オフ・ザ・ボール時の攻守への関与はその頻度が格段に増した。それは、日本代表でのプレーにも表れている。相手に利用されそうなスペースを瞬時に埋め、ボール奪取したらシンプルに味方へ受け渡す。そして彼はまた、次なるスペースカバーへと奔走してディフェンスブロックを築きつつ、多彩な攻撃を発動する担い手ともなる。

 31歳になった原口は今の自身のプレースタイルに意義を見出している。

「ウニオンでプレーしている充実感はありますよ。このチームが成績を残せている理由も分かっている。上手い、下手以前に、このチームには戦える選手がたくさんいるから。僕もその一員としてプレーできていることを誇りに思っている」

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島崎英純

1970年生まれ。2001年7月から06年7月までサッカー専門誌『週刊サッカーダイジェスト』編集部に勤務し、5年間、浦和レッズ担当を務めた。06年8月よりフリーライターとして活動を開始。著書に『浦和再生』(講談社)。また、浦和OBの福田正博氏とともにウェブマガジン『浦研プラス』(http://www.targma.jp/urakenplus/)を配信しており、浦和レッズ関連の情報や動画、選手コラムなどを日々更新している。2018年3月より、ドイツに拠点を移してヨーロッパ・サッカーシーンの取材を中心に活動。

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