森保J、人選と配置は正しかったのか? 日本代表OBが指摘「監督の能力問題になる」

日本代表を率いる森保監督【写真:高橋 学】
日本代表を率いる森保監督【写真:高橋 学】

【専門家の目|金田喜稔】象徴的な問題点として広島MF 森島司の起用法に言及

 森保一監督率いる日本代表は、7月24日に豊田スタジアムで行われたE-1選手権第2戦の中国戦に臨み、0-0と引き分けた。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏は、「果たして人選と配置は正しかったのか、という森保監督の能力問題になる」と、中国戦の問題点に迫っている。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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 中国戦でサンフレッチェ広島の選手5人をスタメン起用したなか、5-4-1システムで低い位置にブロックを形成し、球際でも激しさを見せる中国の守備に苦戦。ボール支配率65.4%対34.6%、シュート数20対4と数字上は中国を圧倒した森保ジャパンだったが、決定力に乏しく0-0のドローに終わっている。

 金田氏が、この日の象徴的な問題点として挙げたのは、左サイドで起用された広島MF森島司の起用法だった。

「左サイドは森島ではなく、スピードや突破力が売りの宮市亮(横浜F・マリノス)や相馬勇紀(名古屋グランパス)を起用するのがベターだった。森島はシャドータイプ。そして左サイドバックに入ったDF佐々木翔は、攻撃参加して違いを作り出すタイプではなく、守備に定評がある選手だ。また、中国がある程度守ってくることも想定していたはず。元から初戦で休ませていた広島勢を起用する算段だったのだろうが、適性だけをシンプルに見ると、森島の位置に単騎で勝負できるタイプを起用するべきだったと思う」

 選手の個性とプレースタイルに見合った起用だったのか。金田氏は左サイドのみならず、右サイドにも言及。「右サイドバックの小池龍太(横浜FM)は攻撃参加もできる。となれば、その前にはコンビネーションで崩せるタイプが適任。プレー属性を考えると、宮市亮はむしろ左サイドで起用し、佐々木と組ませたほうが合っていたように思う」と持論を展開している。

 金田氏が最も問題視しているのは、選手たちの長所が重なっていないことだという。その結果、選手の能力を最大限に発揮できずに終わったと見ている。

「急造チームなので連係面は目をつぶる。だが最大の問題は、選手が本来持っている長所が重なっていないことだ。能力を引き出すという意味で、この日の森保采配を高く評価するのは難しい。ピッチ上の現象を見れば、それは明らかだろう」

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金田喜稔

かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。

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