好調・横浜FMを下支えする“影”の2選手とは? 重用が物語る信頼…終わらないサクセスストーリー「満足していない」
【J番記者コラム】縁の下の力持ちタイプとして貢献するDF岩田智輝とDF小池龍太
偉大な父親の背中を追いかけ、32歳で初めてA代表に招集されたMF水沼宏太。
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数々の大怪我を乗り越え、10年ぶりの代表復帰を果たしたFW宮市亮。
経歴や足跡を踏まえれば、彼らに注目が集まるのは自然だろう。ただし国内組だけの編成で手薄になりがちなウイングとして選出されたのは大きな驚きではない。今季の横浜F・マリノスにおける好調ぶりを考えれば、なおのことである。
その首位チームを下支えしているのはDF岩田智輝とDF小池龍太だ。
岩田はDF登録が示すようにもともとは最終ラインの選手だが、昨季途中からボランチに挑戦。今季に入ると圧倒的なフィジカルと、それを生かした展開力で存在感を発揮。サガン鳥栖戦ではセンターバック(CB)として出場して先制点の起点となる縦パスを入れたように、ボランチを経験したことでビルドアップ面での進捗も著しい。
小池は本職の右サイドバック(SB)だけでなく、左SBやボランチでも輝きを放っている。直近のJ1リーグ第22節の鳥栖戦では左SBで先発フル出場したように、いついかなる場面でも献身的なプレーができる優良プレーヤーだ。
リーグ最多得点を誇る攻撃力がクローズアップされがちな横浜FMにおいて、水沼や宮市はいわば“光”。対して、岩田や小池はどちらかと言えば縁の下の力持ちタイプで、誤解を恐れず言えば“影”を担う選手かもしれない。
しかしながらケヴィン・マスカット監督が2選手を重用しているのは明らかで、それはプレータイムが如実に物語っている。岩田はここまでフィールドプレーヤー1位の1635分、小池は同2位の1393分。厚い選手層を誇る横浜FMは中2~3日の連戦でターンオーバーも珍しくないが、この両選手に関しては連戦でもアクシデントさえなければ指揮官はほとんどの試合でスターターとして送り出してきた。
岩田のプロ1年目はJ3所属の大分トリニータだった。小池はJFAアカデミー卒業後、当時JFL所属のレノファ山口FCでキャリアをスタートさせた。以降、チームとともにステップアップを果たし、ついに日の丸の舞台へたどり着いた。
藤井雅彦
ふじい・まさひこ/1983年生まれ、神奈川県出身。日本ジャーナリスト専門学校在学中からボランティア形式でサッカー業界に携わり、卒業後にフリーランスとして活動開始。サッカー専門新聞『EL GOLAZO』創刊号から寄稿し、ドイツW杯取材を経て2006年から横浜F・マリノス担当に。12年からはウェブマガジン『ザ・ヨコハマ・エクスプレス』(https://www.targma.jp/yokohama-ex/)の責任編集として密着取材を続けている。著書に『横浜F・マリノス 変革のトリコロール秘史』、構成に『中村俊輔式 サッカー観戦術』『サッカー・J2論/松井大輔』『ゴールへの道は自分自身で切り拓くものだ/山瀬功治』(発行はすべてワニブックス)がある。