森保J、カタールW杯へ“滑り込み”の可能性十分「E-1注目メンバー5人」 “FW枠”をこじ開け得る大型ストライカーら厳選

10年ぶりの代表復帰・宮市は“ラストピース”にふさわしいタレント

■宮市 亮(FW/横浜F・マリノス)

 まさに最終メンバーの“ラストピース”にふさわしいタレントだ。10年ぶりの代表復帰だが、もしカタールW杯のエントリーが23人のままだったら、このE-1に招集されていたとしても、カタール行きはほぼノーチャンスだったのではないか。

 26人になったことで、スペシャルな武器を持った選手をオプションに加えやすくなったことで、割り込む余地が出てきた。フルメンバーの伊東純也(ヘンク)、古橋亨梧(セルティック)、浅野拓磨(ボーフム)、前田大然(セルティック)に引けを取らないスピードに加えて、やはり体格的なアドバンテージがもたらす迫力、そしてプレーをやり切る能力はオプションとして大きな武器になりうる。また、いわゆるリーダー気質ではないが、ムードメーカーになりうるキャラクターの持ち主だ。

 伊東や三笘薫(ブライトン)といった個の打開力に優れる選手はいるが、もし彼らが左右のファーストチョイスになった場合、局面を打開できるオプションがベンチに不足する。上記の高速アタッカーに加えて、堂安律(フライブルク)や久保建英など、また違った持ち味のタレントはいるが、サイドから縦に切り裂けるタレントを26人目として加えるなら、宮市はかなり効果的なラストピースになりうる。

■野津田岳人(MF/サンフレッチェ広島)

 5人目は中盤から選ぼうと考えたが、かなり悩まされた。なぜならば欧州組の層が非常に厚く、また前線やサイドに比べると、総合的なベースのところも大事になるからだ。マリノスの岩田智輝やパリ五輪世代の藤田譲瑠チマも優れたタレントで、カタールの先を考えても何とか26人に滑り込んで欲しい選手たちだ。

 ただ、やはり欧州組の常連メンバーだけでゆうに埋まってしまう中盤で、スタンダードを落とさずに、さらに足りないものを加えられるとしたら、野津田ではないかという評価をした。なんと言っても武器は左足の展開力だ。ボールをつなげる選手は多いが、攻撃に切り替わったファーストパスで流れをガラリと変えられる選手はなかなかいない。

 また4割近くの得点がセットプレーから決まると言われるW杯で、左足のキックというのは大きな武器になる。レフティーでは久保や堂安もいるが、プレースキックの能力にかけては勝るとも劣らない。23人から26人に変更される3人の枠は攻撃的なポジションに割かれる可能性が高いが、E-1で高い強度を示したうえで、左足というスペシャリティーをアピールできれば、滑り込みの道も開けてくる。

河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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