森保J、解消されなかった”1トップ問題” 繰り返してしまった3年半前の悲劇
森保監督は6月シリーズの4連戦でさまざまな組み合わせに挑戦
森保一監督率いる日本代表は6月14日のキリンカップ決勝チュニジア代表戦で0-3と完敗した。6月シリーズの4連戦を通して森保監督はさまざまなオプションを試した。毎試合スタメンを大幅に変更。インサイドハーフや最終ライン、前線の組み合わせを変えてカタール・ワールドカップ(W杯)本大会に向けて多くの挑戦をした。だが、当初から問題視されていた1トップについては、”最適解”を見つけることができず。チュニジア戦では2019年1月から2月にかけて行われたアジアカップで露呈した課題を繰り返してしまった。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)
【注目】白熱するJリーグ、一部の試合を無料ライブ配信! 簡単登録ですぐ視聴できる「DAZN Freemium」はここから
◇ ◇ ◇
6月シリーズは4-1で快勝したパラグアイ戦に始まり、ブラジル戦(0-1)、ガーナ戦(4-1)、チュニジア戦(0-3)とスタメンを毎回大幅に変更して臨んだ。2勝2敗に終わった4連戦で、最終ラインに谷口彰悟や板倉滉が入り高パフォーマンスを発揮。初招集だった伊藤洋輝もA代表デビューとは思えない堂々としたプレーぶりだった。インサイドハーフでは鎌田大地や原口元気、久保建英らが躍動した姿を見せた。
一方で1トップでは、古橋亨梧、前田大然、浅野拓磨、上田綺世がプレーしたものの、アピールに成功したとは言えず。大迫勇也を欠いた6月シリーズで本大会での”最適解”は見つからなかった。
そのなかで、1人苦しんだのが日本の10番を背負う南野拓実。左ウイングで主にプレーしたが、サイドから縦に突破するタイプではなく、中央でこそ生きる。チュニジア戦ではなるべく中央を意識し、最終ラインの裏を突く動きを見せていたが、左ウイングのポジションではまだまだ苦戦。さまざまな組み合わせを試したが、南野に信頼を寄せるからこそ1トップ起用する試合があっても良かったのではないか。
特にチュニジア戦では課題が山積みとなった。ビルドアップを狙われ、先制点を奪われるとリードした展開から同点、勝ち越しとひっくり返せるような手立てが見つからなかった。
3年半前、アジア杯決勝のカタール戦(1-3)でも同じような光景が広がった。プレスがはまらずボランチが引っ張り出され、中央が空いた。ミスマッチが起きていながらも修正できなかった。前半12分に先制されてから立て直せず、同27分に続けて失点。南野のゴールで1点返すも痛恨のPKを与えてしまい、万事休すだった。
今回も三笘薫が指摘するように1点を取られてから、交代策で次々と投入されてからの戦い方が整理されていなかった。
「今回、ある程度時間もあり、コミュニケーションをとりながら前日の戦術のところも相手を通して狙いはあるが、狙いの細かさ、そこは全然足りていないと思う。まだフィールド内の自分たちでの対応力、そういったところにいってしまっているところはある。そこはいろいろな人たちで議論しながらやっていく必要があるし、選手、スタッフと話して構築していくべきだと思う」
W杯本番まであと5か月。3年半かけて解消されなかった問題に取り組みつつ、ゴールを奪うための作戦を考えていかなければいけない。