吉田麻也がW杯へ抱える不安要素とは? 日本代表OBが“序列逆転”の可能性を指摘「スタメン起用を迷うだろう」

チュニジア戦に出場したDF吉田麻也【写真:高橋 学】
チュニジア戦に出場したDF吉田麻也【写真:高橋 学】

【専門家の目|金田喜稔】問題は「吉田がW杯までクラブで継続的にプレーできるか」

 森保一監督の率いる日本代表は、6月14日にパナソニックスタジアム吹田で行われたキリンカップ決勝のチュニジア代表戦で0-3と敗れた。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏は、DF吉田麻也(サンプドリア)が抱える“不安要素”について語り、今後の状況次第で「スタメン起用を迷うだろう」と指摘している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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 チュニジア戦の日本は後半9分、吉田が相手を倒してPKを与え、これを決められて先制点を献上。同31分には、吉田、DF板倉滉(シャルケ)、GKシュミット・ダニエル(シント=トロイデン)がお見合いする形となり、守備陣の連係ミスから被弾した。同アディショナルタイムには中盤のボールロストから速攻を受け、強烈なミドルシュートを叩き込まれて0-3と敗れた。

 金田氏は「1点が取れなかった反省材料とともに、3失点は基本的に自滅。いずれも崩されたというより、自分たちの拙い対応、イージーなミスが重なり招いた失点だった」と振り返り、次のように続ける。

「結果論だが、吉田が3失点に絡んでしまった。これがワールドカップ(W杯)の本番だったら……と考えると、安直なミスは絶対に避けなければならない。格上のドイツ、スペインに先制点を取られたら苦戦は必至だ」

 また3失点に関与した吉田について触れ、「背後を取られた時のスピードや反応の衰えは、年齢も考えると仕方ない面もある。とはいえPKを献上して以降、『あの吉田麻也でも引きずるのか』というシーンが連続して見られた」と評した。

 日本は11月23日のグループリーグ初戦でドイツ、同27日の第2戦でコスタリカ、12月1日の第3戦でスペインと対戦する。金田氏は、残り約5か月となったW杯を見据え不安要素も挙げている。

「東京五輪やW杯予選でもキャプテンを務め、精神的支柱としてチームを支えるなど、吉田の存在感はチームの中でも突出している。今回3失点に絡んだミスがあったからといって、森保監督の信頼がすぐに揺らぐことはないだろう。ただW杯を戦ううえで、今後のことは誰にも分からない。今夏、吉田がチームを変えるのかどうか。そしてW杯まで、そのクラブチームで継続的にプレーできるのかどうか」

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金田喜稔

かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。

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