堂安律の“PK失敗”を度外視…「ええぞ!」「それなんだよ!」 日本代表OBが久しぶりに興奮した訳「何より嬉しかった」

約1年8か月ぶりに代表でスタメン出場したFW堂安律【写真:高橋 学】
約1年8か月ぶりに代表でスタメン出場したFW堂安律【写真:高橋 学】

【専門家の目|金田喜稔】「堂安の『仕掛ける姿勢』を何よりも評価したい」と絶賛

 森保一監督が率いる日本代表は6月2日、札幌ドームでパラグアイ代表と対戦し、4-1と完勝した。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏は、約1年8か月ぶりに代表でスタメン出場したFW堂安律(PSV)の「仕掛ける姿勢」を絶賛。「久しぶりに『堂安ええぞ!』と興奮して見ていた」と賛辞を送っている。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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 日本代表のスターティングイレブンに堂安の名前が並んだのは、2020年10月9日の国際親善試合カメルーン戦(0-0)以来、約1年8か月ぶりだった。右ウイングに入った堂安は積極的に仕掛けつつ、時にサイドチェンジも織り交ぜながら攻撃を活性化。前半42分には右サイドから絶妙なクロスを送り、MF鎌田大地(フランクフルト)のゴールをアシストした。

 後半には正確なスルーパスを送り、鎌田が倒されてPKを獲得。キッカーを務めた堂安のキックは相手GKに阻まれたものの、同26分に交代するまで攻守両面で存在感を放ち、そんな堂安のプレーに感激を覚えた1人が金田氏だった。「PK失敗はあったが、大事なのはそこではない」と力を込める。

「堂安の『仕掛ける姿勢』を何よりも評価したい。森保ジャパンが発足した当初の堂安を思い出した。複数のプレー選択肢があるなかで、常に仕掛けの姿勢を見せて、その積極果敢さが相手の脅威になっていた。仕掛ける姿勢があるからこそ、周りを生かすパスや連係も一層生きてくる。サイドチェンジも高精度で、逆サイドの三笘薫も生かしていた」

 金田氏は、堂安の「仕掛ける姿勢」に改めて魅了されたという。「今の堂安は、自分の良さを出すための準備が整っている。言い換えるなら、仕掛けるための心身が整っているということだ。細胞レベルで攻撃のスイッチが入るイメージ。偉そうに言うと、『それなんだよ!』と思ったし、改めて堂安の原点を見た気がした」と、喜々として語る。

「いろいろ言われるのは本人からすれば迷惑かもしれないが、仕掛ける堂安が好きだし、その姿勢があるからこそ、堂安の武器でもある左足の精度、キープ力、視野の広さが際立ってくる。久しぶりに『堂安ええぞ!』と興奮して見ていた。プレーのテンポもいいし、見ていてすごく楽しかった。仕掛けの姿勢を取り戻してくれたのが何より嬉しかった。PKを失敗しても称賛したいのは、そういう理由からだ」

 今年3月のアジア最終予選では日本代表メンバーから落選の憂き目にも遭った。自身のツイッターで「逆境大好き人間頑張りまーす!」と綴った不屈のレフティーが、森保ジャパンに新たな息吹を吹き込む存在となりそうだ。

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金田喜稔

かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。

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