ファインダー越しに見える個性 久保建英と三笘薫のプレー写真に表れた“対照的な違い”とは?

三笘薫は久保とは対照的に前方にスペースがある絵柄に

 対して、三笘薫の写真は相手DFのマークを受けても敵と重なることなく、彼の前方が開いた状態のものが多い。これは久保の巧みなステップとは対照的なダイナミックなフェイントで相手守備陣を振り切る彼のドリブルの特徴を如実に表している。

 何よりピッチレベルで見るフル代表の舞台に立った三笘には、旺盛な活躍を予感させる鋭さがみなぎっている。ひとたびボールを持ち、敵に隙あれば守備網に風穴を開けようと果敢に突破を試みる。もはや背番号15のドリブラーのプレーは、現在の日本代表を構成するうえで最も重要なファクターであると言えるだろう。

 日本の攻撃陣に広く目を向ければ、前線を牽引してきた大迫勇也が不在のなか、パラグアイ戦に先発出場を果たした鎌田大地はゴールをマークして結果を出した。

「ミスをしないように簡単にプレーすること」を心掛けていたというテレビのインタビューのコメントどおり、厳しいマークを受けても動じず、ワンタッチプレーを多用し、守備も淡々とこなすスタイルは、ゲルマンの選手たちをはじめ欧州の屈強なDFと渡り合ってきた自信に裏付けされた表現方法だ。鎌田は絵としてあまり派手さはなく、平凡なシーンばかりが目に付くが、そうしたプレーが彼の個性であり、能力の高さを静かに物語っているのだ。

 写真はピッチに立つ選手たちの一瞬を切り取っているのであるから、彼らの特徴も写された一枚、一枚に反映されるのは同然である。こうして写真から見て取れるそれぞれに個性を持った選手たちの誰を森保監督は最終メンバーに選び、ピッチに配置し融合させるのか。

 選手たちの本大会メンバーに名を連ねるための熱き戦いの火ぶたは、ここに切って落とされた。W杯入りを目指す戦いは始まったばかりである。

徳原隆元

とくはら・たかもと/1970年東京生まれ。22歳の時からブラジルサッカーを取材。現在も日本国内、海外で“サッカーのある場面”を撮影している。好きな選手はミッシェル・プラティニとパウロ・ロベルト・ファルカン。1980年代の単純にサッカーの上手い選手が当たり前のようにピッチで輝けた時代のサッカーが今も好き。日本スポーツプレス協会、国際スポーツプレス協会会員。

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