U-21日本代表選手の新鋭DF内野貴史、「びっくりした」独2部デビューの舞台裏 「ダメなプレーをしたら次はない」からの成り上がり

デュッセルドルフでプレーするDF内野貴史(写真中央)【写真:Getty Images】
デュッセルドルフでプレーするDF内野貴史(写真中央)【写真:Getty Images】

【独占インタビュー】U-23アジアカップに臨むU-21日本代表に選出された内野貴史

 ウズベキスタンで開催されるU-23アジアカップに向けて、ブンデスリーガ2部デュッセルドルフのDF内野貴史がU-21日本代表として選出された。世代別の代表に縁がない選手が3月のドバイカップで突如招集され、今回も続けての代表入り。どこで、どのように育ってきた選手なのか知らない人も少なくないだろう。

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 コロナ禍対策がだいぶ緩和された4月下旬、デュッセルドルフのスタジアム隣にあるホテルのロビーで対面インタビューを実施。ドイツに来た経緯、ドイツでの経験、デュッセルドルフでの毎日、2部リーグデビューで感じたインテンシティーの意味、そしてU-21日本代表デビューについて本人の声をお届けする。(取材・文=中野吉之伴/全4回の1回目)

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 その名前を目にしたのは突然のことだった。U-21ドイツ代表MFアペルカンプ真大、日本代表MF田中碧が所属するデュッセルドルフトップチームのリーグ戦メンバーに見慣れぬ日本人選手の名前があったのだ。

 3月12日の26節パーダーボルン戦、コロナの影響をもろに受けて離脱者が続出したトップチームがセカンドチームから複数選手を急遽リストアップ。内野はその1人だった。それも人数合わせのメンバー入りではなく、右サイドバック(SB)でスタメンフル出場。終了間際の失点で惜しくも試合は引き分けたが、内野自身は確かなアピールに成功している。

「今シーズン始まって最初の頃から、週に1回とかたまには1週間全部とか、結構トップチームの練習には呼んでもらっていたので、コロナで人数足らないという話が出てきた時に、『もしかしたらあるかな』というのが実は自分の中にはありました。週の初めくらいに呼ばれて、人数を見ても『出るしかない』というのは分かっていたし、自分の中でリアリティーを持って意識して練習できる時間はありました」

 頭の中では準備万端。自分のできることをやろうと整理がついていた。しかし実際には、トップチームで2部の試合に出るとなると自分ではどうともしがたい緊張やプレッシャーが襲ってくるものだ。

「前日とかしっかりと緊張したんですけど。でもチームメイトが優しくて。(田中)碧くんもそうですし、シンタも『普段どおりで。緊張するなよ』みたいに言ってくれて。僕らは年も近いのでそういう話もできた。他のチームメイトもみんなそうでした。ちょっとずつ安心したんですけど、でも試合会場についたら、スタジアムそのものはそこまででかくはないのにすごくでかく感じ、人も多く感じて。そこでまたやっぱり緊張して。準備し切れないじゃないけど、それを上回る緊張感が、2部独特の雰囲気があるんだなって。あの場に立ったから理解できたと思います。びっくりしました」

 緊張を感じながらも、アップをして、身体も頭も温まってきたら、どんどんワクワクしてきて、プレーに夢中になっていく。普段から意識しているルーティーンで上手く試合に入ることができたという。

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで、さまざまなレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス取得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、16-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで精力的に活動している。

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