ホーム7戦未勝利の清水、眠気が吹っ飛ぶプレーも拭えない“なぜ” 「やっているサッカーは間違っていない」の声

開幕からホームで価値がない清水【写真:Getty Images】
開幕からホームで価値がない清水【写真:Getty Images】

【J番記者コラム】名古屋戦、後半はまるで別チームのようにアグレッシブ

 5月18日のルヴァンカップ・グループステージ最終節のサンフレッチェ広島戦(2-1)で今シーズンのホーム公式戦初勝利を挙げ、その勢いを持って臨んだJ1リーグ第14節の名古屋グランパス戦(1-2)。清水エスパルスがリーグ戦ホーム初勝利を懸けて7回目の挑戦となったこの試合は、前半22分に一瞬のスキを突かれて先制点を奪われたが、後半27分にMFカルリーニョス・ジュニオのクロスをFWチアゴ・サンタナが技ありのヘディングシュートを決めて同点とした。

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 その後も清水が攻め続け、後半アディショナルタイム5分と表示された残り1分、途中出場の名古屋FW相馬勇紀が放ったグラウンダーのミドルシュートが雨でスリッピーなっていたピッチで勢いを増し、GK権田修一も反応したが届かずに右ポストをかすめ無情にもゴールイン。歓喜に沸く名古屋の選手、スタッフ、サポーターとは対照的に清水の選手たちは呆然と立ち尽くし、サポーターは席を立ちはじめ、クラブワースト記録と並ぶ開幕7試合ホーム勝ちなしとなってしまった。

 前節の京都サンガF.C.戦(0-0)の結果はスコアレスドローだったが、両チームの選手たちの気持ちが入ったプレーが随所で見られ平岡宏章監督が常々口にしている「闘う集団」に近づいてきたと感じられる試合内容だった。そして、名古屋戦の前日会見でも平岡監督はこの試合の見どころを「選手たちのアグレッシブさと闘う姿勢」と話していたが、京都戦と先発メンバーは1人も替わっていないのにもかかわらず、この試合の前半にその見どころを確認することはできなかった。選手たちの動きも鈍く、距離感も悪かった。単純なミスパスも続き、チャレンジすることは少なく、安全なボール回しに終始し、自ら名古屋に流れを渡してしまい先制点を献上する展開となった。

 ただ、後半は立ち上がりから前半とは別チームのようにアグレッシブに連動した動きで名古屋ゴールに迫った。もちろん、先制した名古屋のペースが落ちたこともあるが、なぜこのプレーが前半からできないのか不思議でならない。それができないチームであれば諦めもつき、素直に残留争いへ気持ちも切り替えられるのだが、後半のサッカーは見る価値のあるサッカーで前半の眠気が吹っ飛ぶものだった。平岡監督は「イージーミスの連続で相手にペースを掴まれた。ミスをなくさなければいけない」と前半の戦い方の原因を話したが、今節が終了して全チームの消化試合数が14試合と揃い「暫定順位」ではなくなった清水はJ1昇格プレーオフへ回る16位に順位を落とした。

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下舘浩久

しもだて・ひろひさ/1964年、静岡市(旧清水市)生まれ。地元一般企業に就職、総務人事部門で勤務後、ウエブサイト「Sの極み」(清水エスパルス応援メディア)創設者の大場健司氏の急逝に伴い、2010年にフリーランスに転身。サイトを引き継ぎ、クラブに密着して選手の生の声を届けている。

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