フランクフルトのEL優勝、大谷翔平のホームランより扱いが小さくないか? 日本人2選手が歴史的快挙も拭えない“分かりにくさ”

フランクフルトの鎌田&長谷部が優勝カップを持つ様子【写真:Getty Images】
フランクフルトの鎌田&長谷部が優勝カップを持つ様子【写真:Getty Images】

【識者コラム】フランクフルトの欧州タイトルは1979-80シーズンのUEFAカップ以来

 フランクフルト(ドイツ)がUEFAヨーロッパリーグ(EL)で優勝。レンジャーズ(スコットランド)とのファイナルは1-1、PK戦での勝利だった。フランクフルトの欧州タイトル獲得は1979-80シーズンのUEFAカップ以来である。

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 フランクフルトにとっては快挙だ。ところが、日本のメディアでの扱いはいまひとつの感がある。鎌田大地、長谷部誠がプレーしているというのに、大谷翔平のホームランより扱いが小さくないか? 小野伸二がいたフェイエノールトがUEFAカップを獲得した時は、もう少し話題になっていたような……。ただ、今はみんながテレビのスポーツニュースを見るという時代でもないので、こんなものなのかもしれないが。

 レアル・マドリードの偉大な会長だったサンチャゴ・ベルナベウは、「サッカーはいずれみんながテレビを観ているなか、がらがらのスタジアムでプレーされるのだろう」と言っていたそうだ。テレビ全盛時代はそうならなかったし、現在もコロナ禍の期間を除いてはスタジアムも満杯である。ただし、サッカーはみんなが集まって見るものから、個々にスマホで見るものに変わりつつある。テレビのニュースが関心の高さやニュースバリューを表しているとは限らないのかもしれない。

 ELという大会の分かりにくさもある。

 2008-09シーズンまではUEFAカップの名で知られていた。ちなみに最後のUEFAカップ優勝はウクライナのシャフタール・ドネツク。現在はロシアの侵攻でホームスタジアムは見る影もないそうだ。

 ヨーロッパにはかつて3つのカップ戦があり、UEFAカップはC3とも呼ばれていた。C1が各国リーグのリーグ王者によるチャンピオンズカップ(現在のUEFAチャンピオンズリーグ/CL)、C2はカップウィナーズカップで各国のカップ戦優勝チームによる大会。C3はリーグ王者ではない上位チームが集まって行われた。C1とC2は優勝チームによる大会なのにC3はそうではなく、もうこれだけでも微妙に分かりにくい。

 UEFAカップ以前はインターシティフェーズカップという名称で、要は国際物産展に合わせて行われていた大会だった。55年から71年まで開催されているが、第1回大会はバルセロナ選抜が優勝するまで3年もかかっている。当初はチャンピオンズカップと肩を並べる大会だったようだが、UEFAカップに変わってからは前記のとおり欧州カップの2部的な扱いになった。FIFAはフェアーズカップを公式大会として認めているが、UEFAは非公式戦扱いにしている。

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西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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