森保ジャパン入り推薦、アジア最終予選“未招集”の7人 下剋上の可能性十分…序列を覆し得る有望株は?

うまいだけでなく怖さが加わった森島、マルチロールの菅原に注目

■高丘陽平(横浜F・マリノス/GK)

 これまでJリーグでハイパフォーマンスを見せ続けてきたマリノスの守護神だが、やはり日本代表という基準で不安視されたのは国際経験だろう。しかし、先のAFCアジアチャンピオンズリーグ(ACL)で、Jリーグ勢で最も過酷と言われた全北現代(韓国)、シドニーFC(オーストラリア)、ホアンアイン・ザライFC(ベトナム)とのグループリーグにフル出場でしてゴールを守り抜き、過酷な環境でグループ突破を支えた。

 182センチと上背には恵まれていないが、補って余りある機動力とボール側の強さで度重なるビッグセーブを見せるだけでなく、キャッチからの素早い展開力も備える。マリノスのスタイルを背後から支えるビルドアップも良質だ。また横浜FCでプロ入りが内定した時から「生活のすべてをサッカーのために捧げると決めた」と語るように、1つ1つのこだわりは代表基準に照らし合わせても高いものがある。

 GKは試合だけでなく練習のルーティンも大事なので、短期間で入って行きにくいポジションではあるが、高丘であればGK権田修一(清水エスパルス)などストイックの塊のようなGK陣にもすんなり入っていけるだろう。

■森島 司(サンフレッチェ広島/MF)

 彼もまた広い意味で森保ジャパンのラージグループに入っている選手だが、パフォーマンスの浮き沈みがあまりにも激しすぎたのと、“うまいけど、代表で戦うにはひ弱”という評価が筆者の中でも拭えなかった。それは東京五輪を逃した後あたりから改善の兆しは見られたが、やはり今シーズン、ドイツ人のミヒャエル・スキッベ監督のもとで、うまいだけでなく怖さが加わった。それまでは良くも悪くも中盤と前線をつなぐリンクマンだったが、ちょっとでもスペースや隙があれば入り込んでいく、パスで差し込んでいくという意識とビジョンで、非常に鋭さがある。

 そしてセットプレーのキッカーとしての能力が高く、この点に限れば現在の代表で誰も森島には敵わないだろう。ただ、代表で一番競争が激しいポジションなので、今回は厳しいかもしれないが、同じくキッカーとしてスペシャルな能力を持つMF樋口雄太(鹿島アントラーズ)などとともに、7月のE-1選手権で多いにアピールして、9月の代表活動で招集という道はあるのではないか。

■菅原由勢(AZアルクマール/DF)

 もともと層が薄かったところにDF酒井宏樹(浦和レッズ)が長期離脱中となり、サイドバックの台所事情が苦しくなっている。DF長友佑都(FC東京)を右に回すというプランもあるようだが、所属クラブで非常にハイレベルなパフォーマンスをしている選手がいる。菅原由勢だ。しかも、最終予選ではないが、欧州遠征で森保ジャパンに参加しており、東京五輪もギリギリまで候補だったことを考えれば、現在の充実ぶりから逆転招集は十分にあるだろう。

 サイドの選手としては相手を見ながらサッカーができる“内田篤人タイプ”であり、サイドハーフやボランチ、3バックのセンターバックなど、マルチロールであることも代表ではアドバンテージだ。そして両足を器用に使いこなすので、サイドバックに至っては左右ほぼ遜色無くプレーできる。何より明るいキャラクターで、いわゆるベンチを汚す心配が皆無だ。候補は国内外から挙がっているが、筆者は完全にフレッシュな選手をテストするより現時点で効果的ではないかと考える。

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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