パリ五輪世代のU-21日本代表、“サバイバル合宿”で最大級の“期待”FWとは? 「注目10人」を選出
【識者コラム】2024年のパリ五輪出場を目指すU-21日本代表メンバーから注目10人を選出
大岩剛監督が率いるパリ五輪世代のU-21日本代表は5月9日から11日にかけて行われるトレーニングキャンプに参加する27人のメンバーを発表した。6月に開催されるU-23アジアカップのメンバー選考にも大きく関わる今回の合宿。Jリーグでも活躍が目立つ選手を中心に、注目選手10人をピックアップした。
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※松岡大起、藤田譲瑠チマ、本田風智は、トレーニングキャンプ不参加決定(5月9日JFAより発表)
■松岡大起(清水エスパルス)
この世代の”筆頭格”とも言えるキャプテン候補。ボールを奪う能力や攻守のバランス感覚、そして何より卓越したリーダーシップを備える。攻撃面に課題を抱えていたが、サガン鳥栖から移籍した清水でラストパスやミドルシュートなど、決定的なシーンに絡む意識を高めている。今年1月にはA代表の合宿にも招集されたものの、Jリーグのプレシーズンに負傷して、しばらく欠場していた。第8節のガンバ大阪戦で復帰。まだ100%とは言い難いが、中盤の主軸を固めたい大岩監督にとって待望の招集になる。
■藤田譲瑠チマ(横浜F・マリノス)
3月に行われたドバイカップ U-23で確かな存在感を示し、パリ五輪世代の主力にいち早く名乗りをあげた。ボックス・トゥ・ボックスの動きに優れるスーパーボランチで、展開の流れを読む能力も非常に高い。さらにAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の厳しい環境で一皮向けた感もある。今回は同世代の盟友であり、ライバルでもある松岡が招集されており、さらに刺激を得るトレーニングキャンプになりそうだ。本人はキャプテンマークを巻くことに全く執着していないが、彼もまたチームリーダーの資質を備える1人だ。
■バングーナガンデ佳史扶(FC東京)
柔和な顔立ちと屈託のない笑顔がトレードマーク。左サイドを疾風のごとく駆け上がる攻撃参加は常に相手の脅威になる。昨年はFC東京でレギュラーを取りかけながら10月に全治半年の右膝の怪我を負った。パリ五輪世代の左サイドバックは今回選ばれている加藤聖(V・ファーレン長崎)や畑大雅(湘南ベルマーレ)の他にも大畑歩夢(浦和レッズ)、中野伸哉(鳥栖)など多士済々だが、縦の推進力と仕掛けたら必ず突破してクロスに持ち込むパワーは世代随一で、大岩監督も強力なオプションとして期待しているはずだ。
■鈴木海音(栃木SC)
トップ昇格したジュビロ磐田では公式戦に絡めなかったが、今年から期限付き移籍したJ2栃木でコンスタントに出場時間を得ている。そのなかで、持ち前の対人能力と機動力を発揮。同じく今回の代表メンバーである木村誠二(モンテディオ山形)と並ぶ、今シーズンJ2トップクラスのセンターバックだろう。松岡大起や鈴木唯人とともに“01ジャパン”の常連メンバーだった。コロナ禍でアジアと世界の舞台が無くなったが、今年のドバイカップ U-23のメンバーにも選ばれ、国際試合で能力が通用することを実感したはず。あとはゲームコントロールやビルドアップなど、試合に出れば出るほど向上する要素をさらに伸ばしていけば、パリ五輪への道筋も見えてくるはずだ。
■野澤大志ブランドン(いわてグルージャ盛岡)
この世代のGKは1クラブでの出場機会に苦しむ傾向があり、高卒でプロ入りせず、大学に出場機会を求める選手も多い。野澤もFC東京から昇格した当初はU-23でJ3の試合に出ることができたが、それも無くなり、昨年8月から期限付き移籍で岩手に成長の場を求めた。そこでポジションを勝ち取り、J2昇格を大きく支えると、今年も引き続き岩手でプレー。試合の中で経験をアップデートしている。セービング能力が高く、公式戦に出ながらフィードにも磨きをかけている。鈴木彩艶(浦和)などポテンシャルの高いタレントが揃うGK陣でも楽しみな1人だ。
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。