ウクライナへの“選手メッセージ”で英議論 プレミアリーグが罰しないように主審へ要請

ウクライナ同僚へメッセージを送ったアストン・ビラDFキャッシュ【写真:Getty Images】
ウクライナ同僚へメッセージを送ったアストン・ビラDFキャッシュ【写真:Getty Images】

キャッシュに対して警告、理由はユニフォームを完全に脱いだため

 サッカーではゴール後にユニフォームを脱いだり、ユニフォームを頭にかぶったりした場合、イエローカードが提示されることは、ルールにも明記されている。これは時間稼ぎや政治や宗教的なメッセージの露出を防ぐためという理由があるが、プレミアリーグでは審判に対して、ロシアのウクライナ侵攻に対するメッセージを出した選手を罰しないように通達をしていたという。英紙「デイリー・メール」が報じた。

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 きっかけとなったのは、2月26日に行われたプレミアリーグ第27節、アストン・ビラとブライトンの一戦だ。アストン・ビラが2-0で勝利した一戦の前半17分、アストン・ビラのポーランド代表DFマティ・キャッシュは先制ゴールを記録した。ゴールを決めたキャッシュはユニフォームを脱ぐと、シャツには「Tomasz Kedziora + Family Stay Strong My BRO(トマシュ・ケンジオラと、その家族へ 強くあれ 僕の兄弟)」と書かれていた。

 現在、ウクライナのディナモ・キエフに在籍するDFトマシュ・ケンジオラは、キャッシュのポーランド代表でのチームメイト。24日に始まったロシア軍の軍事侵攻を受けて、キャッシュは励ますメッセージを送ったのだ。

 この試合で笛を吹いたジョン・ブルックス主審は、ルールに則ってキャッシュにイエローカードを提示した。しかし、英衛星放送局「スカイ」のジェフ・ステアリング氏は「これはウクライナの人々へのメッセージ」「このような行為を見逃すべきだ」と話すなど、多くの議論を呼んでいた。

 そんななか、デイリー・メール紙によると、「プレミアリーグの審判員は、ウクライナへの支援を示した選手たちにイエローカードを出さずに、認めるように通達されていた」という。そしてキャッシュが警告を受けたのは、「政治的なメッセージを示したことではなく、シャツを完全に脱いだためであり、競技規則で反スポーツ行為と見なされることだった。もし、彼がユニフォームをまくって、胸にあったメッセージを示しただけであれば、審判員は理解と共感を示していた」と報じている。

 プレミアリーグの試合では、選手の入場の際にウクライナの旗が掲げられたり、メッセージ付きのシャツを着用して入場するクラブがあるなど、反戦を訴える試みがあった。ただし、ゴール後にユニフォームを脱いでメッセージを示したのは、キャッシュ1人だった。それによって、プレミアリーグの姿勢が明らかになり、次節以降は、より多くの選手がウクライナへの支援のメッセージを送ることになるかもしれない。

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