「そのメンタル、人間かよ!」 長友佑都の“精神力”に金田喜稔が脱帽「もう凄い」「恐れ入りました」
中国戦後の批判をエネルギーに変え奮起 「サウジ戦で見事なパフォーマンス」と高評価
森保一監督率いる日本代表は、2月1日にホームで行われたカタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選第8節サウジアラビア戦で2-0と勝利した。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏は、前節・中国戦(2-0)後に批判の声が集まっていたDF長友佑都(FC東京)の奮起した姿に触れ、「『そのメンタル、人間かよ!』と思うぐらい脱帽した」と絶賛している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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1月27日の中国戦で日本は2-0と勝利するも、長友がプレーした左サイドは機能不全に陥るなど課題を露呈。途中出場した24歳DF中山雄太(ズウォレ)が1アシストの活躍を披露したこともあり、35歳の長友に限界説やスタメン交代論などが浮上するなど起用に疑問の声が上がっていた。
それでも長友は中国戦後、「みなさんからの厳しいご意見、ご批判、ありがたい」と語り、すべてを受け入れる覚悟を示す。
「厳しい批判や意見のなかに自分を成長させるチャンスが眠っていると感じる。自分自身で俯瞰して見なくても、みなさんのいろいろな角度からの意見や視点がある。まだまだ成長のチャンスがあると。日本代表を背負う以上、ダメなら批判されて当然。どんどん批判してもらっていいので、この局面を打開した時には2022倍の称賛で称えてほしい」
そんなベテランの意地を見せつけたのがサウジアラビア戦だ。積極的な攻撃の姿勢を見せ、球際でも粘り強い対応を披露。FW伊東純也(ヘンク)のゴールも長友の横パスがきっかけだった。
金田氏は「長友、これだけ外野からいろいろ言われながらモノともせず、サウジ戦で見事なパフォーマンスを見せたのは凄い。周りは『気にすることはない』と簡単に言えるが、普通はあれだけ言われたら、メンタル的に意気消沈して、プレーに影響が出てもおかしくない」と指摘する。
また、代表で100キャップ以上を刻む長友の立場を踏まえ、「長友からしたら、『分かる人にだけ分かってもらえればいい』と割り切って、開き直ることだってできる。しかし、そうしなかった。世間の声を正面から受け止めて、すべて前向きなエネルギーに変えてしまう考え方を持っている。『そのメンタル、人間かよ!』と思うぐらい脱帽した」と手放しで賛辞を送る。
批判を自らのエネルギーに変え、貪欲に成長を求め、ピッチで躍動したベテランの姿に「あれを見せられたら、もう凄いしか言葉が出てこない」とシャッポを脱ぐ。「もちろん、イケイケの若い時に比べたらフィジカル面も落ちるだろし、単純に体力面の衰えもあるだろう。それでも、揺るがないメンタルと豊富な経験値は今の日本代表でずば抜けているし、『恐れ入りました』という感じだ」と語り、長友の精神力に驚きを露わにしていた。
金田喜稔
かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。