静岡学園2年生MF髙橋、先輩からのパス要求もシュート強行 「結果が大事なんです」と豪語する“強気”なスタンスの理由

静岡学園2年生MF髙橋隆大【写真:河合 拓】
静岡学園2年生MF髙橋隆大【写真:河合 拓】

フクダ電子アリーナを沸かせた157センチMF髙橋隆大のプレー

 ひと際、小柄な体躯が躍動した。1回戦・徳島商高(徳島)戦の開始早々3分、静岡学園高(静岡)の先発で唯一の2年生であるMF髙橋隆大は、相手CKのこぼれ球を自陣で拾うと、一気に相手のゴールを目指した。ゴールこそ決められなかったが、このプレーで得たCKから、静岡学園は先制ゴールを挙げている。

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 この時、髙橋がかわしていたのは、ボールを奪いに来る対戦相手だけではない。1学年上のチームメイトたちがボールを要求する声も、やり過ごしていたのだ。

「あれが自分のファーストプレーですかね? 多分、そうだったと思うんですけど、今日の試合に乗れたのは、あそこかなと思っています。あそこですごい、いろいろ(仲間から)呼ばれていたんですけど、強気に行くことで自分も乗れるということが分かっていたので、囲まれてスピードダウンはしましたが、最後は良い具合に右足に持って行けたので振り切ろうと思いました。割と良いコースに行ったので、ちょっと『入ったかな?』と期待したんですけど(笑)。それでも良い具合にCKを取れたので、良かったかなと思います」

 この言葉通り、髙橋は乗った。緑のユニフォームの16番は、ボールを持つと積極的にドリブルで仕掛けていき、スタンドも期待に満ちていった。

 先制した静岡学園だったが、2点目がなかなか入らない。それでも後半7分、再びCKからDF伊東進之輔(3年)が勝ち越しゴールを決める。その2分後だった。MF小泉龍之介(3年)からパスを受けた髙橋は、ドリブルでボールを運び、右足を振り抜いてゴールネットを揺らした。

 ゴールを決めた髙橋は、全身で喜びを爆発させた。前半から彼に魅せられていたフクダ電子アリーナは沸いたが、このゴールには特別な思いが込められていた。

「結果が大事なんです。過程だけでは評価されない世界だということは分かっているなかで、前半からチャンスがあって決めきれませんでした。それでも、気持ちを落とさずに強気でゴールを狙っていこうとしたなかで、良い具合にリュウくん、6番の小泉くんからパスが来て、『クロス!』とか結構、呼ばれていたんですけど、思い切って利き足を振り切りました。良いコースに飛んだので、良かったかなと思います」

 結果を残さなければ、次はない。髙橋にとって良いプレッシャーとなっていたのが、ベンチに座る11番の存在だ。

「常にですが、ベンチに良い先輩であり、ライバルである清水内定の(川谷)凪くんがいます。結果を残し続けないと生き残れない世界と、分かっていたなかで、この大舞台で結果を残すことは評価アップにもつながってきます。自分のこれからのサッカー人生にも掛かってくるなかで結果を取れて、(チームの)3点目だったのですが、嬉しかったです」

 後半20分から髙橋に代わってピッチに立ったMF川谷凪(3年)にも、攻撃陣に火をつけた2年生MFの活躍は刺激になったはず。チーム内の激しい競争を推進力として、静岡学園は2年ぶりの優勝を目指す。

(河合 拓 / Taku Kawai)



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