“森保Jの新星”三笘薫の課題は? 金田喜稔が期待「破壊力はアジアナンバー1になる」

日本代表MF三笘薫【写真:AP】
日本代表MF三笘薫【写真:AP】

三笘のドリブルを一層生かすため「周りを上手く生かすプレーも必要だ」

 11月16日のカタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選第6節オマーン戦(1-0)で、MF三笘薫(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ)が鮮烈なA代表デビューを飾った。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏は、三笘の課題を指摘する一方、「三笘の良さを最大限に引き出せれば、サイドの破壊力はアジアナンバー1になる」と太鼓判を押している。(取材・構成=Football ZONE web編集部)

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 オマーン戦の前半は0-0で折り返し、後半からMF柴崎岳(レガネス)に代えてA代表初選出の三笘を投入。4-2-3-1の左サイドに入った三笘はファーストプレーからドリブル突破を仕掛けて強烈な存在感を放つ。後半36分には、DF中山雄太(ズウォレ)の縦パスに反応した三笘が中央へクロス。FW伊東純也(ヘンク)が押し込み、この1点を守り切った日本が1-0と逃げ切った。

 金田氏は三笘の突破力を「日本の武器」と評し、「三笘はもっとできると思っている。ミスもそれなりにあったが、代表デビュー戦で動じずに仕掛けた。2回仕掛けて1回取られるぐらいなら全く問題ない。相手に取られても仕掛け続ける強いメンタルも見せてくれた」と仕掛ける姿勢も高く評価している。

 その一方、金田氏はさらなる飛躍に向けたポイントにも言及。「三笘の課題があるとすれば、持ち味のドリブルを生かすための判断力と精度だろう。あのドリブルは切れ味鋭く、相手にとって間違いなく脅威だ。とはいえ、三笘以上に相手のフィジカルが強い場合や身体能力が高い場合、あるいは相手が徹底マークしてきた場合、三笘の良さが消えてしまう」と続けた。

 当然、相手も三笘のドリブルを警戒し、徹底的に潰しにかかる。そこで周りを効果的に生かし、いかに相手の意識を分散させるか。そうした局面での判断力とプレー精度が課題だと金田氏は指摘する。

「今後は相手の意図も先読みしたうえで、ドリブルで仕掛けるふりをして、周りを上手く生かすプレーも必要だ。そうしたプレーが増えれば、相手は対応に迷い、三笘のドリブルが一層生きる環境が整う」

 そうした課題の改善を求めつつも、今は積極果敢に仕掛ける三笘の姿が見たいという金田氏。「攻撃に迫力の乏しい現在の日本代表の状態を考えると、三笘には徹底的にドリブルで仕掛けてほしい。たとえボールを何度取られてもだ」とリクエストした。

「逆サイドの伊東にも言えることだが、日本の両サイドが“本物の槍”として脅威を与えることができれば、攻撃の幅も怖さもぐっと増す。三笘の良さを最大限に引き出せれば、サイドの破壊力はアジアナンバー1になると思う。そこはむしろ日本代表の課題で、森保監督の手腕に懸かっている」

 最終予選6試合を終えて、4勝2敗でグループ2位の日本。2022年に中国戦(1月27日)、サウジアラビア戦(2月1日)、オーストラリア戦(3月24日)、ベトナム戦(3月29日)を戦うなか、代表デビューを飾った新星アタッカーへの期待は一層膨らみそうだ。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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金田喜稔

かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。

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