「日本の高校サッカーが羨ましい」 W杯最終予選で苦戦の中国が抱える育成の“問題点”

上海のサッカー学校「根宝足球基地」の卒業生であるFWウー・レイ【写真:Getty Images】
上海のサッカー学校「根宝足球基地」の卒業生であるFWウー・レイ【写真:Getty Images】

【中国サッカー考察コラム#5】元大連人ユース所属のシャ・シュサイ氏が育成環境を分析

 日本のサッカーファンの皆さま、こんにちは。中国サッカーメディアにて活動をしている久保田嶺です。今回は中国サッカーの育成環境、特に日本との違いについて書きたいと思います。中国代表は現在、カタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選1勝3敗でグループ5位と厳しい状況が続いており、「育成環境から見直すしかない」というファンの声をよく聞きます。そして、特に「日本の育成を見習うべき」という声も多く上がっています。そこで中国サッカーの育成環境に詳しい、中国1部・大連プロフェッショナルFCのユースチーム出身者に話を聞きました。

「高校サッカー、大学サッカーが存在していないのは大きな問題です」

 こう話すのは、大連人職業足球倶楽部のユースチームに所属していた車生才(シャ・シュサイ)氏です。大連人と言えば、2018年のロシアW杯で日本代表と対戦したベルギー代表MFフェレイラ・カラスコなどもプレーした名門チームであり、シャ・シュサイ氏はその大連人の下部組織に2004年に加入、トップチーム昇格を目指してプレーしていました。

「日本の高校サッカーが羨ましい」

 これは日中の育成環境を比べる際、よく中国サッカーファンや関係者が口にする言葉です。中国では基本的に中学生ぐらいまでは街クラブでプレーし、そこで実力がある選手は随時プロチームの下部組織へ移籍、または全国にあるサッカー学校へ入学します。しかし、その先の高校では、中国では部活動というのが基本的にないために、下部組織やサッカー専門学校に入れなかった選手が、高校のサッカー部に入りサッカーを続ける、という選択肢はありません。つまり、中学生までに頭角を現した選手のみが本格的なサッカーを続けることができることになります。

 また、プロチームの下部組織やサッカー学校へ入学するのにも、大きな問題があります。

「私は大連人のユースチームにいましたが、全員が寮で共同生活をし、そして一般的な学校へ行く必要はなく、チームが準備する塾で最低限の勉強をします。サッカーをするのにはぴったりですが、サッカー以外のことを知ったり、友人を作るということは非常に難しいです」

 日本であれば下部組織の選手たちも、それぞれが一般の学校へ通い、放課後にチームへ集合、練習するのが基本かと思いますが、中国は良くも悪くもサッカーのみといった生活になります。

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