長谷部&鎌田所属フランクフルト、指揮官の次なる策は? 心のスイッチをいかに入れるか

フランクフルトはボーフムに敗れリーグ戦15位に【写真:Getty Images】
フランクフルトはボーフムに敗れリーグ戦15位に【写真:Getty Images】

【ドイツ発コラム】フランクフルト、シーズン前に描いていた青写真とは違う状況に

 日本代表MF鎌田大地、元日本代表MF長谷部誠が所属するフランクフルトの今季パフォーマンスがなかなか安定しない。リーグではバイエルン・ミュンヘンに今季初黒星をつけ、UEFAヨーロッパリーグ(EL)では現在グループDで首位。一方でドイツカップ1回戦では3部リーグ所属バルドルフ・マンハイムにあっさりと敗れ、リーグでも残留争いが目標のクラブ相手に勝ち点を奪うことができないでいる。リーグ前節では昇格組ボーフムに0-2で完敗。9節終了時で勝ち点8、15位という結果はシーズン前に描いていた青写真とは全く違うものだろう。

 こうした状況だからこそ、指導者に求められる要素は大きくなる。ELのオリンピアコス戦は鎌田のゴールなど3-1で勝利したわけだが、その数日前に行われたヘルタ・ベルリンとのリーグ戦があまりにもひどい内容だっただけに、地元記者は一様に「どんなマジックを使ったんだ?」と興味津々。今季から指揮を執るオリバー・グラスナーはチームへのアプローチ、そしてELオリンピアコス戦について、落ち着いた様子で次のように振り返っている。

「トレーニングの内容が何かをもたらしたわけではないと思う。試合後の控室では少し大きな声になったりもしたし、翌日には長めの批判的な分析をした。月曜日のフリーな日にみんな気持ちを切り替えて、火曜日からまたトレーニング。我々がしたのはサッカーのトレーニングだよ。前の試合では失点後にナーバスになってしまった。チームからのフィードバックもあった。そうしたメンタル状況だったら、選手は自分たちのパフォーマンスを発揮することができなかった。だから時にはある程度のロッカーハイト(リラックス)も必要だ」

 新監督となり、新しいやり方に取り組もうとすると、やらなければならないことだらけで頭がいっぱいになりがちだ。そして本当だったらできるはずのプレーも自分で封印してしまう。「このプレーはやっても大丈夫かな?」「これをやるとチームに迷惑がかかるのかな?」。そんなふうにちょっとでも躊躇する要因があると、選手の足は動かない。

 だからどこかで、そうした心と頭を解き放つ瞬間が必要になる。グラスナーは選手にサッカーの持つシンプルさを取り戻させ、サッカーへの喜びを再確認させたかったのだろう。

「我々は正しいやり方で正しいプレーをした。落ち着きがあり、規律正しいプレーが多く見られた。中盤と前線の選手が3バックをサポート。ボランチからのパスの展開。攻撃のバリエーション。変なパスミスも少なかった。やろうとしたプレーを上手くしてくれた」

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中野吉之伴

1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。

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