浦和のボールポゼッションが劇的改善、戦況を一変させる“リカルド・マジック”の妙

浦和レッズを率いるリカルド・ロドリゲス監督【写真:Getty Images】
浦和レッズを率いるリカルド・ロドリゲス監督【写真:Getty Images】

仙台戦で2-0快勝、低調だった前半の戦いぶりに指揮官が“メス”を入れ安定

 浦和レッズは9日のベガルタ仙台戦で、後半の連続得点で2-0の勝利を収めた。低調な感があった前半から、ハーフタイムで大きく戦況を変えたリカルド・ロドリゲス監督の手腕が光った。

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 浦和は5日のルヴァン杯、グループステージ第5節の柏レイソル戦(3-3)で日本デビュー&初ゴールを決めた新外国人FWキャスパー・ユンカーをスタメン出場させ、ダブルボランチを開幕戦でも組んだ39歳のベテランMF阿部勇樹と大卒ルーキーMF伊藤敦樹のコンビで臨んだ。しかし、立ち上がりから全体的にミスが多く、決定機をこの試合がJ1デビューになった18歳のGK鈴木彩艶のファインセーブに救われる場面もあった。

 仙台が4-4-2で組むブロックを攻略できず、ミスからカウンターを受けそうな悪い展開の中、指揮官は「試合の入り、少し苦戦してしまった。簡単に失うところが見受けられ、飲水タイムくらいから修正して落ち着いた」と振り返る。そして、ドラスティックな変更はハーフタイムだった。

 選手交代こそなかったが、前半に左サイドハーフの位置からクロスを狙うプレーを多くしていたMF小泉佳穂をマイボール時にはトップ下のような位置へ変更。両サイドバックが高い位置を取っていたところを左サイドバックのDF明本考浩を前に出す一方、右サイドバックのDF西大伍は低い位置でビルドアップのサポートに残した。全体的に3-2-1-4のような形で仙台のブロックの隙間に配置すると、途端にボール保持が安定した。

 ロドリゲス監督は「ビルドアップのところをよりハッキリさせたかった。前半途中からも見受けられたが、どういった立ち位置を取るか。目的はより相手にダメージを与えること。その意図と狙いを込めた。その中で相手を良い意味で抑えながらプレーできたと思う」と、試合内容の改善について話す。

 そして、小泉とFW武藤雄樹のパス交換から先制点をユンカーが奪うと、2点目は中央でパスを受けた小泉が倒されて得たフリーキックを、阿部が直接蹴り込んだ。配置を調整した選手たちがゴールに絡み、ポジション変更がスコアにも表れた。

 7連戦の最終戦という状況下に指揮官は「幸運なことに、ここにいる選手たちは賢くインテリジェンスがある、その恩恵がある。今日は途中でやり方を変えたけれども、練習していないやり方でも理解してやってくれた選手たちのおかげだ」と、選手たちの対応力に感謝した。

 それを可能にしているのも、チーム全体のコンセプトが始動から一貫して選手たちと共通理解が得られていること。そして、そのコンセプトを実現する手段としてのシステム変更やポジションチェンジだからこそ、選手たちも対応できるのだろう。戦況を一変させる「リカルド・マジック」が、連戦の最終戦で浦和に貴重な勝利をもたらした。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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