日韓戦完勝も「致命傷になりかねない」 日本代表「韓国戦出場17人」を金田喜稔が採点

MF守田英正(サンタ・クララ)【写真:Getty Images】
MF守田英正(サンタ・クララ)【写真:Getty Images】

守田を高く評価も、足の出し方が「致命的なファウルになる可能性もある」

■鎌田大地(フランクフルト/→ハーフタイムOUT)=★★★★

 前半のみのプレーでベンチに下がってしまったが、個人的にはもっと長く見たかった選手だ。立ち上がりの6分に大迫、佐々木とつないで左サイドを崩し、最後は鎌田の右足インサイドのシュートが枠の左に逸れたが、流れの中からチャンスを作り日本のリズムを作った。そして得点シーンではドリブルで持ち上がりながら、対峙したキム・ヨングォンが足を出してくるのを待ち、左足を伸ばしてきた股の下を狙った。シュートに持ち込む時の体勢、タイミングの取り方が非常に落ち着いていた。このあたりにブンデスリーガで結果を残している経験値の高さを感じるし、守備時にもプレスバックでボールを奪うシーンにも絡んでいた。

■伊東純也(ヘンク/→後半29分OUT)=★★★

 今季のベルギー1部リーグで10ゴール9アシストと結果を残すなど、高いレベルに到達しているサイドアタッカーだ。攻守の切り替えの早さも素晴らしく、ディフェンスへの貢献度も相変わらず高い。その一方で、韓国戦ではクロスの精度に課題を残し、またボールの持ち方が拙く、簡単に囲まれて失うシーンも2回あった。失点には直結しなかったものの、強い相手であれば致命傷になりかねない。着実に成長を遂げている選手だけに、やや物足りなかった印象だ。

■遠藤 航(シュツットガルト)=★★★★★

 デュエル勝利数がブンデスリーガ1位という実績は、この試合の局面の勝負でもしっかりと生きていた。相手との1対1に勝つためにどういうポジショニングを取り、相手がボールをコントロールした瞬間にどちら側の足を抑えるのか、体を抑えるのかという本能的なステップワークができている。これができる選手はなかなかいない。ボランチとして素晴らしく伸びたなと改めて感じさせるパフォーマンスであり、終盤にはCKからヘディングで1ゴール。日本代表の中心として頼もしい存在になった。

■守田英正(サンタ・クララ/→後半41分OUT)=★★★★

 限りなく5つ星に近い4つ星評価。自陣ゴール近くで完全に相手に振り切られた時の足の出し方で、ファウルを与えてしまうシーンが2回くらいあった。あのエリアで簡単に体をぶつけたり、足を出してしまうと精度の高いキッカーがいる世界の強豪相手では、それが致命的なファウルになる可能性もある。駆け引きという部分では学ぶべき点があると感じたが、全体的に遠藤とのコンビネーションには好印象を抱いた。相手がボールを保持している時のお互いの距離間、外に行った時には前後の関係を作りながら、ポジションをただ押さえているのではなくしっかりとプレスに行く。遠藤の姿に刺激を受けているのか、それともポルトガルで自信を手にしたのか、今後が楽しみな存在だ。

金田喜稔

かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。

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