ドルトムントのクロップ監督が分析 香川はマンチェスター・ユナイテッドの結果至上主義に謀殺された

度重なる監督交代が一因

 ドルトムントのユルゲン・クロップ監督は、MF香川真司がマンチェスター・ユナイテッドで成功できなかった理由を、アレックス・ファーガソン元監督の勇退から始まった度重なる監督交代にあったと指摘した。FIFA公式サイトが報じている。
 香川はスコットランド人の名将に請われ、2012年シーズンに1200万ポンドの移籍金でドルトムントを去った。そして、2年後に半額の600万ポンドの移籍金で古巣へと戻ってきた。復帰初戦の13日のフライブルク戦ではゴールを決めるなどの活躍で、マンチェスター・U時代には見せることが少なかった輝きを放った。
「私にはカガワが移籍マーケットに出ていたことが驚きだった」
 移籍市場閉幕直前でマンチェスター・Uとの交渉を成功させ、買い物上手をアピールしたクロップ監督はそう語った。一方で、まな弟子がオールド・トラッフォードでポジションを確保できなかった理由についても口を開いた。
「彼のマンチェスター・Uでの1年目はサー・アレックス・ファーガソンの監督として最後のシーズンだったので、選手を育成する時ではなかったということ。(監督のキャリアの中で)そのステージで求めるものは結果とタイトルだけになる」
 プレミア優勝を花道にチームを去った名将だが、やはり指導者としてのラストイヤーはタイトルにこだわるもの。精緻な連動性を武器にしたドルトムントから、フィジカルコンタクトが激しく、コンビネーションよりも個での打開能力を要求されるプレミアリーグへと移った。さらに、独特なスタイルのリーグに適応する必要があった香川を先発で起用しながら、成熟を待つ余裕が当時のマンチェスター・Uにはなかったのかもしれない。
「2年目は新監督の1年目だった。これも結果が全てだ。そして、成功に関する哲学を持った3人目の監督がやってきた。われわれは香川と契約するチャンスをうかがっていた。そして、それをものにした。香川はフライブルク戦でセンセーショナルだったよ」
 昨季デイビッド・モイーズ氏が監督に就任すると、マンチェスター・Uはロングボールとクロスを前面に押し出すスタイルに転換した。その2人目の指揮官は、クラブ側から長期政権を約束されながらも、やはり結果を欲した。
 今季監督に就任したルイス・ファン・ハール氏は、リーグ開幕戦のホームゲームで1972年以来の敗北を喫し、リーグカップで3部MKドンズに0-4で惨敗するに至ると、急に大ナタを振るい始めた。香川ら余剰戦力と見なした選手を次々に放出。移籍市場では1億5000万ポンドも投じ、ビッグネームを次々に獲得した。金に糸目をつけずに、結果が欲しかったことは間違いない。
 クロップ監督は08年シーズンからドルトムントにおいて長期政権を築いている。クラブの継続性と強化の一貫性、政権の安定性は香川復活を後押しする大きな要因なのかもしれない。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

page 1/1

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング