37歳長谷部は進化を止めない 「最速ダッシュ」と知性溢れる「駆け引き」に驚嘆

再びアンカーで輝きを放つと誰が予想できただろうか

 3バックのセンターでプレーしている時も、試合の流れを見ながら中盤に上がって攻撃の起点となるプレーを見せていたが、アンカーでプレーする今は、その時以上に攻撃への関与が増えているし、長谷部が潤滑油として関わることでフランクフルトの攻撃は非常にバリエーションに富んでいる。

 味方が攻めあぐねている時は、リスクが高くても通ればチャンスというところへパスを狙ったり、勢いはあるけど少し空転している時は一度落ち着かせたり。

「ビルト」紙オンライン版では、フランクフルト代表取締役のフレディ・ボビッチ氏とアディ・ヒュッター監督が、来季も長谷部を戦力としてプランする方向で意見が一致したと報じていた。

 それにしても昨シーズンまでは3バックの真ん中こそ長谷部のベストポジションであり、ただそれ以外のポジションとなると厳しいだろうという見方が多勢を占めていたが、今こうしてアンカーの位置で誰よりもインテリジェンスに満ち溢れたプレーをコンスタントにしている。まったく、他の誰にできるだろうか。長谷部の成長期はいつまで続くのだろう。これまでに何度も驚かされているが、こうした裏切りなら大歓迎ではないか。願わくば、これからももっともっと驚かされていたいものだ。

(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)



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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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