J2の枠を超えた“上手くて戦える”ボランチ 大宮の天才から滲み出る責任感【J2からの推薦状】
MF小島幹敏(大宮アルディージャ):チームは低迷も、中心選手として輝きを放つ
近年、J2での活躍を経て、J1を代表する選手に成長していくという例は少なくない。ヴィッセル神戸のFW古橋亨梧(元FC岐阜)のように飛躍する、次の“スター候補”は誰なのか。「J2からの推薦状」と題し、近い将来にJ1の舞台を彩る可能性のある選手たちを紹介していく。
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大宮アルディージャは今季のJ2リーグ戦で低迷し、苦しいシーズンとなっているが、そのなかでも眩い輝きを放っている選手がいる。ボランチで攻撃のリズムを生み、中心選手として活躍するMF小島幹敏だ。
小島はジュニアチーム時代からオレンジのユニフォームに袖を通し続け、数多の好機を生み出す左足を武器に2015年にトップチーム昇格を果たした。17年からの2年間は水戸ホーリーホックに期限付き移籍し、18年には39試合4得点4アシストの数字を残して攻撃の軸に成長。19年から大宮への復帰を果たしている。
しかし、復帰初年度はベンチで出番を待つ日々が続く。高木琢也監督が標榜する堅守速攻型のチームにおいて、攻撃を活性化できる存在ではあったものの、指揮官が求めるプレー強度を有していなかった。ボールを扱う技術の高さはチーム随一で、止めてから蹴るまでの柔らかい動作など素晴らしい才能を持っているが、どこかスケールの小ささが否めないプレーヤーというのが以前の姿だった。
もちろん、課題は本人も理解していた。そして今季、小島は中盤のセカンドボール争いで負けないタイトな守備や、強い気持ちの籠もったプレーを見せて体も張る。そしてビルドアップ時は攻撃のタクトを振るい、リズムを与える存在に成長した。
これまでは乏しかったゴールへの意識にも変化が生まれた。「自分に得点やアシストの結果が増えたら、評価や価値が上がる」と数字にも目を向け、積極果敢にゴールを狙うことでここまで3得点を記録。相手守備陣にとって厄介な存在になり続けた。特に第31節ギラヴァンツ北九州戦(2-1)で決めたボレーシュートは、高い技術力とゴールへの意識が重なり合って生まれた、J2ベストゴール級の一撃と言えるだろう。
普段は飄々としていてマイペースな小島。そんな性格がピッチ上で出てしまうこともあったが、もうそれは過去の話。「なるべく周りに声を掛けようと思っているし、球際に行こうという気持ちは出している。やらないといけない気持ちは特に強く出てきているかなと思っている」という言葉からは、チームを牽引する存在として責任感が滲み出る。
責任感が芽生えたことで、“上手くて戦える選手”への変貌を遂げた小島。大宮アカデミーが生んだ天才が、J2の枠を超えるような選手となった。今後のさらなる成長が楽しみで仕方ない。