“覚醒”する鈴木武蔵、ベルギーで5戦5ゴール 「打ち合い上等」のチームで磨かれる得点感覚
【ベルギー発コラム】昇格組ベールスホットが2位に躍進 リーグ最多28得点も失点数はワースト2位タイ
今季8シーズンぶりにベルギー1部リーグに帰ってきたベールスホットの勢いが止まらない。
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10月31日に行われたリーグ第11節ルーベン戦では前半16分に先制点を許すも、その後、日本代表FW鈴木武蔵らのゴールで前半のうちに逆転に成功。後半にもさらに2点を追加し、結局4-2の快勝で今季7勝目を挙げて順位も2位にまで上げてきた(11月3日現在)。11試合を終えてリーグワースト2位タイの25失点を喫している一方、得点数はリーグ最多の28点という、取られたら取り返す「打ち合い上等」の攻撃的なサッカーで、ベールスホットは今季のベルギーリーグに旋風を巻き起こしている。
そのチームの勢いに乗るような格好で、鈴木もゴールを量産している。8月30日の第4節スタンダール・リエージュ戦(0-3)で、後半32分から途中出場してベルギーデビューを果たした鈴木は、出場した直近5試合中4試合で計5ゴールをマーク。唯一ノーゴールだった第8節ヘント戦(1-5)にしても、前半43分に放ったクロスバー直撃のシュートを含めて鈴木には決定機が少なくとも4回あり、ストライカーとしての存在感は十分だった。
鈴木を他の日本人FWと比較した時に際立つのは、敵陣にボールが入ってからのポジション取りだろう。ビルドアップの際には中盤まで下がってきたり、サイドに開いて味方からパスを引き出すこともあるが、ボールがアタッキングサードに近づけば鈴木がピッチ中央のエリアから離れることは稀だ。
前節ルーベン戦での鈴木のゴールシーンでは、そうした特長がよく出ていた。前半25分にベールスホットのMFイスマイラ・クリバリーが左サイドからサイドチェンジのパスを右サイドのDFジョレン・ドムに送った時、前方の右ハーフスペースにいた鈴木は、ドムのフォローを他の選手に任せて一気にゴール前へ走り込んでいった。
“俺の一番大事な仕事は点を取ることだから、そこはお前らでなんとかしろ”――。そう言わんばかりにファーサイドに陣取り、ドムから上がってきたクロスボールをヘディングシュートでゴールに叩き込んだ姿は、相手ペナルティーエリア付近でもサイドにボールがあれば近くに寄ってコンビネーションプレーのためのパスコースを作ろうとする傾向が強い他の日本人FWと違って、鈴木が「ゴールを決める」というストライカー本来の役割を強く意識していることの表れとして、強く印象に残った。