FC東京が磨き上げる「4-3-3」の機能性 「逆転の発想」と若手登用で過渡期脱出へ

川崎に総合力で見劣りはするが…ルヴァン杯準決勝は注目

 率直にFC東京は、過渡期を迎えていた。昨年は久保が中核に育つ僥倖があり前半戦の主役になったが、メンバー固定で息詰まり後半はペースダウンした。そういう意味では、コロナ禍での過密日程と5人交代制の導入は、タイミング良く代謝促進を後押しした。この日2ゴールの安部は明らかにJ1でのプレーに慣れて自信と余裕が生まれつつあるし、他に原大智や内田宅哉らも少しずつ効果的なプレーが増えている。

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「8月をメンバー固定で戦えたので、コンビの形はできてきた。これからは誰が出ても力が落ちないようにするのが課題」と指揮官は言う。もちろんリーグ戦で首位を独走する川崎と比べてしまえば、依然として総合力では見劣りする。だが好対照のチャレンジャーとして挑むルヴァンカップ準決勝での直接対決は、事実上の決勝戦になるとともに、川崎の三冠阻止のカギになるシーズンのハイライトとなるかもしれない。

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加部 究

かべ・きわむ/1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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