ドウグラスの“無重力ヘッド”を演出 相手の想像を超えた衝撃の“高精度”アシスト

昨年まで清水でプレーしたFWドウグラス【写真:Getty Images】
昨年まで清水でプレーしたFWドウグラス【写真:Getty Images】

【J番記者が選ぶスーパーゴール|清水編】2019年J1第18節神戸戦(後半23分)…二見宏志のロングスローからドウグラスの強烈ヘディング弾

 清水エスパルス史上に残るスーパーゴールと言えば、古くは1999年Jリーグチャンピオンシップ第2戦(ジュビロ磐田戦/2-1)の澤登正朗の伝説のFKだろう。2007年J1第24節ジュビロ磐田戦(1-0)の終了間際、藤本淳吾の低い弾道のFKをニアサイドに飛び込んでダイビングヘッドで決めたチョ・ジェジンのゴールも印象深いが、近年では北朝鮮代表としてワールドカップに出場した経験のある鄭大世に、「レベルが違う。何一つ勝れる部分がない」と言わしめたドウグラスのスーパーゴールが多かった。2019年最終節サガン鳥栖戦での残留を決める左足の一撃も素晴らしかったが、一番印象に残っているのは二つのスーパープレーから生まれたゴールだった。

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 2019年J1第18節、ヴィッセル神戸をホームに迎えた試合。前年のホーム最終戦(3-3)での同カードでは、後半アディショナルタイムが20分間も取られ、清水の負傷者2名が救急車で搬送され、神戸は退場者2名を出す荒れた試合となっており、この顔合わせには因縁を感じていた。そうしたなかで、ドウグラスのスーパーゴールが1-1の同点で迎えた後半23分、神戸陣内のスローインから生まれた。

 タッチラインを割ったボールを西澤健太が受け取ったが、センターバックの二見宏志がスローイングの場所に小走りで近付くと、スタンドからは拍手が起こった。二見はロングスローを繰り出すため、小雨の降るなか、ビニール袋から取り出したタオルで滑らないようにボールを丹念に拭く。そして渾身のロングスローを、神戸のゴール前に向かって投じた。

 ボールは風下へ吹く風にも乗り、想像以上に神戸ゴールへと迫った。そしてペナルティーエリア中央で待ち受けるドウグラスが、滞空時間の長いジャンプで「一人無重力状態」からのヘディングシュートを決めてチームを勝利に導いた。二見のロングスローの軌道と距離に驚き、それをいとも簡単に決めたドウグラスのヘディングシュートと、二度驚かされたゴールだった。

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下舘浩久

しもだて・ひろひさ/1964年、静岡市(旧清水市)生まれ。地元一般企業に就職、総務人事部門で勤務後、ウエブサイト「Sの極み」(清水エスパルス応援メディア)創設者の大場健司氏の急逝に伴い、2010年にフリーランスに転身。サイトを引き継ぎ、クラブに密着して選手の生の声を届けている。

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