東福岡の”目隠しFK”に打ち砕かれた選手権初優勝の野望 久我山監督「してやられた」

相手6人に視界を遮られ、なす術なく失点

 選手権初優勝を狙った國學院久我山高校(東京A)の野望を打ち砕いたのは、名門・東福岡高校(福岡)の仕掛けた前代未聞のトリックプレーだった。試合後、敗れた清水恭孝監督は「してやられた」と、試合を分けたプレーをそう振り返った。

 11日に行われた第94回全国高校サッカー選手権の決勝戦、前半を0-1で折り返した國學院久我山イレブンだったが、前半も得意のパスワークで何度かチャンスを作り出していた。夏のインターハイを制して、高校二冠を目指す東福岡を相手にも「自分たちのサッカー」は十分に通用した。ハーフタイムにふんどしを締め直して迎えた後半戦だったが、開始からわずか2分でその出鼻をくじかれてしまう。

 ゴール正面やや右サイド、約20メートルの位置で東福岡が直接FKを獲得。キッカーのポジションにはMF中村健人が立った。白のユニフォームの國學院久我山が作った壁の前には、赤いユニフォーム姿の選手3人が立った。さらに、ボールのポイントの前にも赤いユニフォームの3選手が肩を組んで立ち、歩幅を合わせて一歩ずつゆっくりと下がっていく。4歩目を踏んだ瞬間に合計6人の東福岡の選手は一気にしゃがみこみ、その上をMF中村が蹴ったボールが越えていった。視界を遮られた久我山GKと壁役は反応が遅れ、ボールはそのままゴール左隅に吸い込まれた。

 このプレーに対し、試合後に「想定外だったか?」と問われた清水監督は、「そうですね……。ちょっと(後半に入って)もう一回っていうところで、苦しい入りになってしまったかな。想定内と思いません、絶対。してやられたという感じです」と唇を噛んだ。

 

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