「チームとしてバラバラ」 鎌田大地、急失速のフランクフルトに危機感
【ドイツ発コラム】直近リーグ6試合で勝ち点わずか「1」 シャルケ戦でも「変な失点の仕方」で敗戦
フランクフルトがなかなか勝てない。11月2日、ブンデスリーガ第10節でバイエルン・ミュンヘンに5-1で快勝した時は、ここからリーグでもさらに上位へという期待が膨らんでいたが、そこから急失速。直近リーグ6試合で勝ち点わずかに「1」と低迷している。15日に行われた第15節シャルケ戦(0-1)ではこれまで以上に守備位置を深くして、アウェーでまずはしっかりと守るところから始めようとしていた。流れが悪い時は欲張らずに、まずは勝ち点1でもしっかりと持ち帰る。そのプランも悪くはない。
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この日ベンチスタートだった日本代表MF鎌田大地は、外から「いつもは前から前からという感じでしたけど、今日は少し下がって相手にやらせてというやり方でやっていたので。見ていても失点する感じはしなかったし、相手もセットプレー自体も、身長が大きい選手はいなかったので、変な失点の仕方をしなければ、(勝ち点)1以上は持ち帰れるかなと思って見ていました」と前半のチームの戦いぶりを評価していたが、上手くいっていない時はまさにその「変な失点の仕方」をしてしまうものだ。
後半8分、DFのアルマミ・トゥーレが中盤で不用意にドリブルで持ち上がろうとしたところを狙われてボールを奪われると、そこからのカウンターからあっさりとFWベニト・ラマンにゴールを許してしまう。ほとんど相手に決定機を許していなかっただけに、自滅のような形で失点するのは痛い。
その直前、アディ・ヒュッター監督に呼ばれ、出場の準備をしていた鎌田は「失点の仕方もイージーだったし、すごいもったいないなと思います」と口にする。本来は「前で上手くボールキープして」という指示がされていたが、「僕がピッチに入るところに立っていたら失点したので。言われていたことと、いざピッチに入ってやるとなったら違うものになったなと」と振り返る。
フランクフルトに流れが生まれそうな瞬間はあった。同21分にシャルケGKアレクサンダー・ニューベルがロングボールをクリアしようとペナルティーエリアを遠く飛び出してきたが、ボールに先に追いついたガチノビッチを“カンフーキック”で蹴り倒してしまい一発レッド。数的有利になったことで、フランクフルトは一気に同点に追いつくべく攻撃を活性化させた。
だが、自陣深くに守るシャルケを相手にサイドから闇雲にクロスを放りこむばかり。確かにこの日、長身FWバス・ドストが復帰していた。とはいえ、徹底マークをしてくる相手を抑え込みゴールを決めるのは難しい。
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。