奇跡を演出した度肝を抜く一芸 青森山田DF原山がロングスローに乗せる思い

名門で異彩を放つ男

 名門・青森山田高校(青森)は3日、第94回全国高校サッカー選手権大会3回戦の後半アディショナルタイムの2得点で同点に追いつき、PK戦の末に桐光学園高校(神奈川)を破る劇的勝利を飾った。その勝利の立役者となったのは、ひたむきに自らの武器を磨き続けた男だった。

 背番号「5」を背負った右サイドバックの原山海里は、湘南加入内定のMF神谷優太、仙台入り内定のDF常田克人らを擁するタレント軍団の中で飛び抜けた存在というわけではない。しかし、ロングスローという絶対的な武器を生かして名門のレギュラーを勝ち取った。チームメートへの思いを乗せたロングスローが、奇跡的なドラマを演出した。

 1回戦の大社高校(島根)戦でも2点のビハインドから逆転勝利を収めた。その決勝点を導いたのも、原山の飛び道具だった。原山は、ライナー制のボール、山なりのボールと2つの球種を自在に使い分け、タッチラインからファーポストまで届くという長距離砲で、何度も会場を沸かせた。桐光学園戦では、1-2で迎えた40+5分、ラストプレーで左サイドからロングスローを入れると、途中出場のMF吉田開が頭で押し込み、終了間際に同点に追いついた。原山は、自らの“投球”に、仲間を信頼する思いの全てを込めた。

「一つの武器として、得点に絡めてうれしい。中の人に頼むという気持ちで、思いっ切り投げた。どこに投げるかは考えず、思いっ切り投げただけだった」

 青森山田の黒田剛監督は原山について「あれ(ロングスロー)しかないので。ウオーミングアップは肩だけやっとけ、というくらい。投げられなかったら使えない。それだけで引っ張ってきた選手なので、そこは本人も自覚している」と語る。原山本人も「僕はみんなほどうまくない。気持ちの選手」と自らを語っている。だが、その武器が2度も全国の舞台でチームを勝利に導いてきた。

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