浦和の“愛されキャラ”森脇良太 ブーイングを笑いに変えた男の7年間「感謝しかない」

森脇は最後までムードメーカーとして笑顔を絶やさなかった【写真:轡田哲朗】
森脇は最後までムードメーカーとして笑顔を絶やさなかった【写真:轡田哲朗】

退団決定にチームメートも「珍しく残念がってくれた」

 そんな森脇は、浦和について「まさか7年間もプレーできると思っていなかった」と話す。契約満了はクラブの決断であると話し、「受け入れるしかないし、感謝しかない。毎日が刺激的で、何か一つこれという思い出を挙げるのは難しいくらい。毎日がかけがえのない日々でしたからね」と話した。

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 チームメートもまた、森脇曰く「珍しく残念がってくれた」という反応だったという。

 前述の興梠は森脇と同じ13年の加入で、2人組のウォーミングアップなどで一緒にやっていることも多かった。一方で、森脇をいじる回数でトップクラスだったのもまた興梠だろう。森脇が取材を受けていると「長く話してるけど、記事になったの見たことないぞ」と冷やかして帰っていくこともあった。契約満了が発表された翌日、森脇に話をしている時も全く同じ光景があった。

 その興梠は「この時期はね、寂しい思いはあるけど、あいつなりに7年間、特別な思いでやってきたと思う。一緒に入ってきたからね。他のチームメートもいるけど、ずっと家族の次くらいに一緒だったから。チーム状況が悪い時に出るのは複雑だとも思うけど、最後は笑顔で終わりたい」と、少し感傷的だった。

 もちろんサッカー選手として、これだけボールをつなぐ技術が高いDFもなかなかいない。本人も「蹴っ飛ばすのは簡単だし、リスクもない。そこをつなげるのがベストプレー」という信念を持つ。李が浦和に在籍していた時、練習後に何か森脇がいじられて、周囲にいた報道陣まで笑ってしまったことがあった。李も笑いながら、「皆さん笑うけど、あいつ、阿部(勇樹)ちゃんの次くらいに上手いからね」と、こちらに話しかけてきたのが印象に残る。一方で、なんで森脇が面白かったのかを思い出せないあたりが、彼の持つキャラクターのような気もした。

 そんな愛すべき男は、「浦和は僕の中で特別になりました。もうレッズでプレーはできないけど、心の中に常にあるクラブですね。サポーターの皆さんは、『もう森脇はいいよ』と思うかもしれませんが、僕はしつこく浦和のことを思い続けたい」と、7年間で生まれた思いを語った。

 森脇が浦和の選手として埼玉スタジアムでのホームゲームを迎えるのは、G大阪戦が最後。彼はチームメートやサポーターから、どのような送り出され方をするのか。ただ、どんな形であれ、そこには笑顔があることだけは間違いないはずだ。

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(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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