鎌田大地、ドイツで輝き放つ“高難度プレー” 緊急事態で1トップ起用も「やっぱり僕は…」

「スピード感やフィジカルというのが、こっちの選手に比べたらない」

「前半、僕自身フリーマンという形でやっていて、上手くボールを今日は収められていたし、カウンターの起点になったりしていたので、たぶんそのまま監督も僕を使いましたけど。やっぱり僕は1トップをするにあたって、スピード感だったり、フィジカルというのがこっちの選手に比べたらない。カウンターで1人で仕掛けきるだったり、そういうのがなかなかない」

 鎌田は試合後、後半のプレーについてそのように分析していた。確かに得意とするプレーを出すのは、ポジションとしても、試合の流れとしても難しくなっていた。それでも前線で休むことなく守備をし続け、相手守備の隙を突いてパスを呼び込み、タメを作り、味方の攻め上がりを引き出していた点は評価される。だからこそヒュッター監督も、最後まで鎌田をその位置で起用し続けたのだろう。

 悔やまれるのは、終了間際にペナルティーエリア直前でパスを受けたが、シュートまで持ち込めなかった場面だ。右足に持ち直そうと切り返したところで、相手DFの守備に引っかかってしまった。

「ワンタッチであれはシュートを打たなきゃダメだったかなと思います。僕のイメージは、もうちょっとフィリップ(コスティッチ)がね、上手く縦に切り込んでマイナス(のパス)というイメージだったんですけど、思ったより早くボールが来て、ちょっと周りの状況が把握できていなかった」

 リーグ戦ではこれで3連敗。さらに6日のヘルタ・ベルリン戦にも2-2で引き分け、中位に沈んでいる。EL、DFBポカールと3つの大会での過密日程が続いており、前線はFWバス・ドストが負傷でこの日欠場。FWアンドレ・シウバも負傷明けで、コンディションが良好とは言えない。FWゴンサロ・パシエンシアは開幕から休みなくプレーを続けている。それだけに「今日のプレー自体は、前半はフィーリングがすごく良かった。しっかり引き続き、いいプレーを維持していけたらいいなと思います」と、好コンディションをキープしている鎌田がいることが、チームにとっても再浮上への重要なポイントになるはずだ。

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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