強いだけでは満足できない? 「ブランド力」求む名門、“カルト的”監督に託す未来

ユベントスのマウリツィオ・サッリ監督【写真:Getty Images】
ユベントスのマウリツィオ・サッリ監督【写真:Getty Images】

ビッグクラブでも“カルト的な監督”に手を出す時代に…

 クラブが“ブランド・イメージ”を持ちたければ、個性の強い監督を雇うのが早い。ユニフォームやエンブレムを新調するだけでは、ブランドは空虚なままだ。プロチームの主力商品はチームであり、そこに確固たる魅力がなければならない。

 ちょっと前までは、ファビオ・カペッロやジョゼ・モウリーニョが「優勝請負人」と呼ばれて、持て囃されていたものだが、今や勝つだけでは満足できず、“ブランド・イメージ”を構築できる監督が必要とされているのかもしれない。勝たなければならないのは前提としても、それだけではビジネスとして発展性がないのだ。プロサッカークラブにとって、お金と勝利は両輪であり、ニワトリとタマゴのようなもの。儲かれば強くなるし、強くて魅力的ならさらに儲かる。

 ペップやクロップは、もし結果が出ていなければ「物好き」なだけの監督だったかもしれない。マルセロ・ビエルサ(リーズ監督)やズデネク・ゼーマン、フアン・マヌエル・リージョ(青島黄海監督)などは“そっち側”の人としてカルト的な人気があるが、ビッグタイトルのないサッリがどちらなのかはまだ分からない。ただビッグクラブでも、けっこうなカルト的な監督に手を出す時代になっているのだ。

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西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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